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欲灯
第5章 不倫男
結ばれたい。

結ばれない。

結ばれなくても、結ばれている。



奈美は、ゆっくりと戻りつつある意識の中で、青柳に抱かれ、包まれていた。





俺は、ナナさんとは結婚出来ない。

するつもりもない。

秘密の関係。

本名も知らない、体だけの関係。

この人とのセックス以上の快楽が、他にあるんだろうか。

いつかは恋人を作り、結婚をするだろう。

そしたら、ナナさんとの関係は、終わるのだろう。

でも、もう少し、このままでいたい。



青柳は、息を整えながら奈美を抱き締めた。





秋が去ろうとしている、風の冷たい夜。

来店客が出入りするレストランの駐車場。

その端の方に駐車している1台の四駆車。

熱気で曇ったガラス。

体液の付着した後部席。

ドアポケットに残されたジッポライター。

繋がったままの男と女。





帰らなきゃならない、そう思うと名残りの口づけも激しくなる。

絡み合う舌。

絡み合う息。



再び奈美の『女』が濡れ、青柳の『男』が起き上がった。



「まだ時間、平気?」



「うん」


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