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欲灯
第6章 寝盗男
「ここのパーティルームも飽きたね」

伊藤は缶ビールのプルタブを起こしながら、ベッドに腰掛けた。

「あ、三島さんは飽きないか。毎回違う男だもんね」

目の前に横たわる女の太ももを、湿った手で撫でた。

「友達の小島たちだろう? あとこないだのサイトの・・・・・・。あとウチのバイトのほら、辞めちゃったアイツ、何だっけ名前・・・・・・」

「・・・・・・」

「ああ、『した』ままだったね」

三島の口に入った猿ぐつわのボールをずらす。

「んっ・・・・・・ハァハァ・・・・・・斉藤くん、ですよね」

「あーそうそう! トロい斉藤くん、そうだそうだ。彼、童貞だったっけ」

「そうでしたっけ、ね」

「うん、三島さんね、今日もなんと! 童貞くんが来ます!」

「あ・・・・・・そう、ですか」

「浮かないねぇ・・・・・・今日はほら、例のサイトの僕のファンがね、二人ほど」

「・・・・・・さすが店長」

『ペチッ』と太ももに平手打ちが入る。

「彼らの前では『岬さん』もしくは『タケルさん』! それか『ご主人様』でしょう」

「・・・・・・はい」

「まぁもっとも、三島さんはコレで喋れないけど」

そう言って伊藤は、口許のボールを人差し指で突いた。

「今回も三島さんは『ミイちゃん』でいいよね?」

「まぁ、はい。構いませんけど・・・・・・」

「なぁに? 乗り気じゃないのぉ?」

「いえ、そんな事は・・・・・・」

「わかるよわかる、三島さんは俺と二人きりが良いわけだよね、わかるよ。でもさ、僕は表はS、君はMみたいにやってるけどさ・・・・・・。僕、自分の性癖に気付いちゃったんだもん・・・・・・」



そう言って伊藤は、数ヶ月前のある事件を思い返していた。
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