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鬼の哭く沼
第2章 宵ヶ沼
指先が先端を押し潰す様に執拗に擦り、突起はぷくりと硬く尖っていく。それに気付いた酒呑童子が、小さく尖り主張する突起を抓んで指の腹を擦り合わせるように刺激する。
「ああ……っ」
「…はっ、良い声で啼く。可愛がり甲斐がありそうだ」
首筋に舌を這わせながら、酒呑童子の声に熱が籠る。
このままでは本当に、違う意味でこの鬼に喰われてしまう。身体を捩り逃げようとするも、腹に巻き付いた片腕はぴくりともしない。
自分の初めては、愛する人と愛を交わしながらするものの筈だ。
(嫌だ、絶対。こんなのは嫌だ)
何とかしなければ。
「やだ、ほんとに…ゃあ!イロ、何て、やめる…っ」
「………何?」
「愛人なんて、いや…っ離して…!」
「嘘を吐くのか?」
「ぁ、ひあ!!」
ぎり、と強く乳首を抓まれ、悲鳴を上げた。
降下した声音と背後から伝わる怒気に、恐怖が込み上げる。
「嘘じゃ、無い…けど、代わりに他の事は…下働きでも何でもするから…っ」
「同じ事だ。言を覆すのは嘘を吐くということ。地獄では嘘をついた罪人に裸足で針山を歩かせるのだそうだ。お前も歩かせてやろうか。何歩までいけるか見物だな」
見下す様に言って、香夜の胸元から手を引き抜く。と思ったらばさりと布団の上へ仰向けに放り投げられた。
怯えて動けなくなった香夜の腰から荒々しく帯を解いて引き抜き、両手を縛りつける。そしてその手を頭上へ縫いつけるように片手で押し付けた。
支えるものの無くなった襦袢の前が乱れ、裸を晒される。視線を感じ、あまりの羞恥に頭がくらくらした。
足を固く閉じ、目に涙を浮かべて震える香夜を酒呑童子は氷のように冷たい目で見下ろす。その刺すような眼差しに、目を見開いたまま恐怖で全身を震わせた。
「第一小間使いならいくらでも、掃いて捨てる程ここにはいる。それにお前は、そう大して役に立つようにも見えん。その細腕で何が出来る。今こうして、俺に組み敷かれ抵抗一つまともに出来ないお前が」
ああ…それとも、と笑う。
「客が取りたいのか。見知らぬ男にとっかえひっかえ犯されたいのならそう言え、望み通りにしてやろう」
悔しさに、目尻から涙が零れた。
唇を噛んで嗚咽を漏らす香夜を静かに眺めていた酒呑童子が、色を失くし震える唇をそっと口づけで塞ぐ。