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鬼の哭く沼
第2章 宵ヶ沼

間近に迫る絶頂を、経験の無い香夜は表現しきれずに苦しげに顔を歪めて喘ぐ。そんな姿に含み笑い、赤い南天の実のごとき肉芽をぴん、と硬く尖らせた舌先で弾く。


「ひあ、や…っ」

「限界か?良いだろう…俺の名前を上手く呼べたら、解放してやる」

「は、あ…な…まえ…」

「そうだ、名前だ」


噎せ返る様な淫蜜の香りに陶然とし、香夜の中からぐちゅりと指を引き抜いた。


「ん…っ」


鼻にかかった甘い声が上がり、香夜が無意識に腰を振る。それは男を求める女の仕草だ。
物足りない、と言わんばかりの様子に煽られ、酒呑童子は自身の腰帯を解き捨てる。

浅黒い肌を美しく隆起させる割れた腹筋と、下腹が露わになる。そこに屹立する太く逞しい雄の象徴も然り。


(壊さないよう、慣らしてからと思ったが…)


どうやらそれは無理らしい。
赤黒く膨らんで脈打つ竿の先端からは、すでに透明な先走りが滴って柔らかな女の肉に埋まるのを今か今かと待っている。その根元を掴み、数度上下に扱いてから香夜の上に覆い被さった。


(この娘の血肉に酔ったか)


この俺ともあろう者が。

思った以上に余裕の無い自分自身に、自嘲の笑みが漏れた。



「香夜」


荒い呼吸を繰り返す香夜を呼び、その唇を塞ぐ。舌を絡めて思う存分口腔を犯し、顔を上げた。
そして、両手を戒しめていた帯を解いてやる。


「辛ければ俺に爪を立てろ。舌を噛むなよ」

「あ、ぁ……え…?何、や…」


ぬるり、と硬く熱い塊が割れ目に押し当てられて香夜の目が恐怖に見開かれる。先程の指など、比べ物にならない質量のそれ。男を知らない香夜でさえ、酒呑童子のそれが相当に太いのだと理解できた。

受け入れるなんて、不可能だ。


「や、やだ…やめ…!!」

「黙れ。言ったろう…俺に愛される事を、受け入れろと」


竿を押し付けたまま、恐怖に委縮して震える肉芽を捏ねる。同時に刺激してやれば、挿入の痛みも軽減できるかもしれない。


「さぁ。呼べ…香夜」

「ああ…んぅ、く…っ!」


ぐ、と腰を進める。先端が肉襞を強引に掻き分けて、その奥を目指す。
息を詰め、引き攣った香夜の首筋に顔を伏せて酒呑童子は囁いた。



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