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鬼の哭く沼
第5章 忍び寄る影
先走りを潤滑油にして輪を作った指で圧をかけながら根幹を扱く。赤黒い屹立は筋を浮かべて脈打ち、尖ったもので突けば弾けてしまいそうな程だ。
「…香夜、はあ…か…よ…っ」
切なく瞼を伏せ、掠れた声音で何度も名を呼びながら滾る熱を煽る。揺らめく腰は、無意識に香夜を突き上げる動きを模してその動きの激しさを増していく。腰を中心に集まる熱に、くらくらと眩暈がするのは決して気の所為では、無い。玉の汗が額に浮かび、こめかみを伝って滑り落ちていく。
苦しい。切ない。恐い。
この複雑な感情が帰結する先の名を、須王は知っている。
短く息を吐き、湿った音を立てる掌の中の塊を強く握りながら須王は身体を倒す。褥の中、鬼に己を淫靡な行為の糧にされているとは露とも知らず眠る香夜に顔を寄せた。鼻を擽る甘い芳香は、今の須王にとって白檀や麝香(じゃこう)にも勝る最高の媚香だ。
痛いくらいにしなり、逞しい腹部に触れる程反り返った淫幹の根元がぐっと膨らみ果てる瞬間が近い事を知らせる。
「くう、っ……」
指先でそれを確認し、一際激しく竿を扱き擦ると大きく息を吸い、胸いっぱいに香夜の匂いを溜め込む。そして。
「…香夜……っあ、く…!」
一声、獣のように吠え。奥歯をかみしめて、ぐっと握り込んだ太い竿の先端から迸る大量の熱い白濁を掌で受け止めた。