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碧い雨の夜に…
第4章 【感情的に……】
そして翌日、まだ現れないと思っていた今回のバックダンサーを受けた相手、つい先日ツアーを終えたばかりのアイドルグループの1人が練習スタジオに姿を見せた。
サプライズしたかったらしく、一部のスタッフしか知らせずに来ていた。
アイドル役のダンサーさんに合わせて絡みながらフォーメーションチェックしていく。
肩に手を置いて絡む振り付けもあってちょっと大丈夫かなって懸念してる。
いや、会ったら絶対オーラ半端ないだろうなって人だから。
周りにファンがたくさん居て後でめっちゃ羨ましがられるのは確定。
指示があったところは全て完璧に熟してる。
ダンサー同士でもっと詰めようかとしていた状況でついに主役アイドルが扉を開けて入って来た。
練習着ながらオーラが漂っていてキラキラ輝いて見える。
私たちはすぐさま動きを止めて整列し挨拶した。
「안녕하십니까?(アンニョンハシムニカ)」
丁寧過ぎたのか、笑ってカタコトの日本語で「ラフニイキマショウ」と言われ安堵の笑みを浮かべる私たち。
心の中で(ヤバい本物だ)って皆思ってたと思う。
それくらい有名なアイドルで、ツアーには物凄い著名人がたびたび訪れるほどの人気ぶりだ。
それぞれ自己紹介して、
改めて振り付けのコンセプトを主役自ら説明してくれて、カタコトだけどちゃんと聞き取れるくらい日本語できちんと話してくれた。
隠れて見ていたこともカミングアウトされて私たちから笑顔を引き出してくれる。
本物のプロフェッショナルは格別だな。
談笑を終えて主役が入っての本番練習が始まった。
ドキドキしたが肩にも手を置けたし、ダンサーとしてなら数秒間見つめ合えた。
一通り踊ると、今回の振り付け師と話をし始めた。
ここは韓国語の会話だったのでよく聞き取れなかったけど、一瞬だけ私のことを言ってるような気もした。
早口な韓国語を完璧理解しているオーナーだけが(おぉ…)というリアクションで私を見ている。
(え?なに?私間違ってた?何かやらかしたのかな)って不安になる。
話がついたようで主役は戻って来た。
そして、私に向かってこう言った。
「リセ氏、一緒ニ踊リマショウ」