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碧い雨の夜に…
第3章 【必然的に……】
そしたら案の定「理世、帰ろうぜ〜」と呑気な顔したアキラが戻ってきた。
爆笑する皆に“???”顔。
「ま、それでこそアキラだわ」とまで言われてる。
「いや、もう一緒には帰らない、ナオのこと悲しませたくないから」ってはっきり断る。
頬を膨らませてブーブー言ってるけど、皆の前でちゃんと言っておかないといつもなかったことにされるから。
「俺を見捨てるのね?」とかも想定内で。
見捨てない見捨てないって言わせられて。
また明日ね、と電車メンバーと一緒に帰る。
最寄りに着いて大通りを歩いていたら脇に停まっていた黒い車の窓から「リセちゃん」と呼ばれた。
ナンパなんてよくあること。
でも何で私の名前知ってるんだ?と思って目だけチラッと向けたら手を振っているナオだった。
「えっ、ナオ!?」
え、めっちゃ可愛い!お人形さんみたい!
女の子バージョンだぁ!
服は今日着ていった私とおソロのパーカーに緩めのジーンズだけど撮影用にフルメイクされているナオは美女そのものだった。
降りてきて「一緒に帰ろう?待ってたの」って声も女の子。
運転席の窓が開いて初めてナオの事務所の人と挨拶した。
「Naoのこと宜しくね」って交際してることも知ってくれてるみたいで謙遜しちゃう。
「最近めちゃくちゃ仕事頑張ってくれてるのキミのお陰だって聞いてるよ、これからも尻叩いてやって」とまで言われた。
スーツ着てて濡れ髪セットで色気漂うホストみたいな人だったけど言うだけ言って帰って行った。
送迎してくれている人でマネージャーさんらしい。
いきなりで緊張したけど、私のことを紹介したくて仕事終わりに絶対通るこの道で待機してたんだって。
「大丈夫、10分ほどだよ待ってたの」
なら良いけど、連絡も寄こさないなんてもう。
サプライズしたかったってその顔で極上の笑顔は反則でしょ。
ほら、皆振り返って見てるよ。
コンビニ寄っても注目されてる。
「リセちゃん、抹茶味出てるよ、リセちゃんの好きなアイス」
「買う」
私だって目が離せないよ。
手を繋いで帰る帰り道。
女の子同士でもこんなことあるから変な目では見られないだろうけど、久しぶりの女の子バージョンに心臓は忙しい。