この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
碧い雨の夜に…
第3章 【必然的に……】
「エヘヘ、こういうのしない人なんだと思ってた」
「幻滅した?」
「まさか!すっごく嬉しい」
何度も捲って見てるからそれはヤメて。
コテで毛先だけ軽く巻いてくれたナオに感謝して一緒に家を出た。
ナオは送迎があるのでマネージャーさんの車に乗る。
送ろうかと言われたけど遠慮した。
というより、駅まで歩くのも私のルーティーンのひとつなのだ。
ストイックなのか、ただ融通が利かないだけなのか。
リズムを崩されると体調もおかしくなるみたい。
途中でダンサーたちとも会うしペチャクチャ喋りながらスタジオ入りするのも楽しいの。
「理世、あんた凄いことになってるよ!オファー来まくりなんだけど!」
「えっ!?」
オーナーに呼ばれて衝撃の事実を知った。
まだBLOOMの新曲は発売されていないしMVも撮影中だとか?
何も世に出てないのにどうして?
「向こうの歌番組で新曲発表したみたい、かなりバズってる、振付師が日本人なのも注目されてるってよ」
事務所の電話も鳴りっ放し、DMも桁違いで届いてるとのこと。
「凄いじゃん、格好良かったもんな?頑張った証拠だな」とアキラが頭ポンポンしてきた。
正直、今まで何度か他の国へ行って誰かのバックダンサーでライブに出たことはある。
これからもそんな類いだろうなって思ってた、自分の力量は。
日本では生徒を持つコーチとして、時々バックダンサーとしてって。
まさか、私一個人に振り付けのオファーが舞い込んでくるなんて。
それがヒットして次の仕事に繋がっている。
アカウントにもたくさんのコメントとフォロワーが増加中だ。
人生、何が起きるかわからない。
事務所が次に選んだのは男性8人グループで爆発的に人気のあるグループの弟分の新しいダンスグループだった。
これがまた最初のインスピレーションで降りてくるような楽曲で。
自分自身でも今キテるってわかるほど。
「やります」と気付けば答えていて早速何度も楽曲を繰り返し聴いた。
サビにいくにつれて激しくなるもAメロは大人しい、落差のある動きを取り入れよう。
ヤバい、すでにもう楽しい。