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碧い雨の夜に…
第3章 【必然的に……】
(理世、もうゾーンに入ってるね)と周りが言うくらいイケメンな顔してたみたいだ。
合わせる動きも大切だけど8人分の自由な動きも大切にしたい。
それぞれが格好良くキマるように。
メンバーが誰かも知らない。
どんなダンスをしてくれるのかも事前として資料すらないのだ。
練習生5年は皆過ぎていてスキルだけは桁違いだとしか聞けてない。
でも、何も知らないまっさらな状態で創り上げる方が何かに囚われなくて良いかも。
え、めっちゃムズいの作りたくなってきた。
真似したいけどプロにしか出せない迫力だとか細やかな動きだとか創れたら良いよね。
「おい、飯、食うの忘れてるだろ」と声を掛けてきてくれたのもアキラで、コンビニでおにぎりや私の好きなお菓子、よく飲んでる緑茶を買ってきてくれていた。
袋を手渡され「ほどほどにな」って行ってしまう。
「ありがとう」しか言えなかった。
本当だ、気付けば13時過ぎてた。
携帯を見ると(お昼だよー)とナオからもメッセージと写真が送られてきてた。
お、凄い美味しそうなお弁当食べてる。
また振り付けすることになったことや、おにぎり食べてるのを自撮りして送った。
ヤバい、もう午後からの撮影始まってるよな。
返信しそびれた。
軽く食べたらタオル被って瞑想中。
こういう時はそっと見守ってくれるのが仲間たちなのだ。
だからこそ居心地が良い。
よし、頑張ろうって思える。
というより、サビの部分の振り付けの方が先に出来てしまっていた。
音だとか韻の踏み方だとか全てにおいてストンと落ちてきた。
ただ激しいだけじゃない緩急を存分につけた、指先まで魂を宿らせたちょっとした指遊び感覚。
この辺は練習すれば真似出来るから見てくれてる人たちが踊ってみた動画とか挑戦してくれると良いなって思う。
重心を低くして全員で足は時計回りに。
この動きを合わせたら格好良いよ、うん。
(またスタジオ泊まる?)のメッセージと一緒にクマがメソメソ泣いてるスタンプが送られてきてた。
休憩?
多分返信は後で見ると思うけど
(うん!泊まる!うっそ~ん!ナオ不足なのでチャージしたいから終わったら速攻で帰る!)とだけ送った。