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碧い雨の夜に…
第3章 【必然的に……】
画面見てニヤニヤしていたのか、
「キモっ」と言って皆が入ってきた。
「おい、出来てるところまで踊らせろ〜」って皆の方がやる気満々だ。
途中まで見せたらまた大絶賛してくれて気持ち良い。
「え、あんた天才なの!?絶対真似したいって思うわ、ダンス好きでもそうでなくても」
「ん?ん?ちょっと簡単そうで難しいぞ?うわ、血が騒ぐ!」
ダンス歴長いからあっという間にシンクロ出来ちゃうところは本当に助かる。
仕上がりイメージが一気に降りてくる。
誰がどう動けば良いのか、どう格好良く収まるのか瞬時に振り付けが仕上がっていく。
イメージしてたものと実際に踊るのと合致していく過程が震えるほど楽しい。
メンズグループだから私以外は男性を従えて鏡の前で何度も動きを合わせた。
皆にも見守られながら撮った動画を細かくチェックしてその都度直してどんどん完成に近付いていく。
レッスンのない日だったから通しで何回踊ったかわからなくなった。
疲れてるはずなのに皆、キラキラした顔で踊ってくれる。
一番呼吸の合うアキラは常に私の隣だ。
メインボーカルは4人居ると聞いているので振り付けだけでなく、楽曲も聴いて声の違いだけで今ボーカルが変わったと判断して歌いやすい位置に……という緻密な計算もしなければならない。
私は、まだ誰かに話したこともないし話す必要性も感じないから言わなかっただけなんだけど“絶対音感”を持っていて、音が少しでもズレたり、誰も気付かなかった音のミスを見抜いたりするほど耳が良い。
だからボーカルの違いも簡単にわかる。
誰が…とまではいかなくても違う人だって。
ちなみに、一度声を聴けばコーラスされてもメンバーがわかるほどです。
何人かは帰って行ったけど男性メンバーは最後まで残ってくれて気付けば外が真っ暗で仲間たちからの差し入れで時間に気付けたほど。
皆に謝って有り難くケイタリングを頂く事にした。
二口だけ食べて「明日には完成させとくね」と帰り支度をする。
「おい、食ってけよ」とアキラに止められるも「筋肉休めてね、またね!」って風のようにバイバーイと走り去った。
没頭すると時間感覚がバカになる。
これで何回も恋愛ダメにしてきたからちょっとは学習しなきゃ。
踊るのは帰ってからでも出来るし、早く顔が見たいってのも本音。