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碧い雨の夜に…
第3章 【必然的に……】
もつれそうになる足で駆け抜けて息を切らして帰って来た私に、エプロン姿で出て来るなんて反則だよね。
髪も伸びてきて襟足も長くなった。
撮影中はウィッグやエクステを着けて女の子してるらしいけど、今は男の子バージョンだからドキドキが止まらないよ。
「あ、またボーッとしてる、見惚れてた?おかえり、リセちゃん」
「………ただいま」
見事に見惚れてたよ。
家に帰ったらナオが居る幸せ噛み締めてる。
ギュッと抱き着いた私をとことん甘やかしてくれる腕の中。
「お疲れさま、頑張ったね」って言われるだけで全部吹き飛ぶ。
力強く抱き締めてスリスリすると
「それ以上はリセちゃん…」とストップがかかる。
反応しちゃうからほどほどに、だって。
そそくさとキッチンに戻るナオが可愛い。
手洗いうがいして上着脱いだらやっぱり構いに行っちゃう。
「ねぇ、帰ってからのキスしてないよ?」って言ったら手を止めてしてくれる。
チュッて軽いやつだけど嬉しい。
「えっ!」と驚いたのはキッチンに平たいアルミ鍋があったから。
「あ、買ってきちゃった……」
実は…と他にも買ってきたらしい5つもサイズがある土鍋だったり、ロングスプーンセットを見せてきた。
今日はスンドゥブチゲだよ!ってキラキラした目で言われたらずっと聞いててあげたくなっちゃう。
韓国料理なら任せて!てドヤ顔。
本格的な辛いスンドゥブを2人で汗掻きながら食べて代謝が上がってきたところでダンスタイム。
今日出来上がった振り付けをナオに披露するのだ。
「え、知ってる!Crescent Moonでしょ?まだ新しいグループだよね?えー凄い、リセちゃんが振付師なんだ?」
Crescent Moonという今、若手のアイドルグループで人気もかなりあるみたいだ。
「ほら、ダンスも上手いチームだよ」とデビュー曲の動画を見せてくれた。
しまった、検索したら出て来るんだから見とくべきだったよね。
いや、最初のインスピレーションを大事にしたいから私としては知らない方が良い。
作り上げた後だからいっか。