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義母と少年
第1章 義母と少年
「真帆さん!?」

驚いたのは律だ。突然、本物の真帆が目の前に現れたのだ。慌てて身体を起こした。そんな律の顔を見つめ、優しく微笑みながら真帆は近づいてきた。

「ど、どうして? 見てたの?」

真帆は小さく頷くと、律と肩を並べるようにベッドに腰掛け、律の頭をそっと抱きかかえた。

「心配しなくていいのよ。なんで泣いてるのか教えて」

「真帆さん!」律は真帆の胸に顔を埋めると、額を擦りつけて泣き出した。「ぼ、ぼくの身体、変になっちゃった。白いおしっこが出たんだ。身体が熱くて、息も苦しくて……」

(やっぱり……)

真帆は、自分の考えがあっていたことを確信した。余程不安だったのだろう、律の身体は小刻みに震えている。きちんと教えてあげなくては――。

「大丈夫。怖がらなくてもいいの。律くんも大人になったということだから」

「大人になった?」

真帆は、律のお腹にべっとりと付着している白い体液を人差し指ですくい取ると、親指で軽く擦ってから、律の目の前で広げた。ネチャーと糸を引いている。

「これはね、おしっこじゃなくて精液と言って、中に子どもをつくる元になる種、精子が一杯はいっているの。律くん、学校で精子と卵子が結びついて子どもができるって習わなかった?」

「保健の授業で習ったけど……」

「その精子がこれ。大人になった男の人だけが出せるようになるのよ。これが律くんの身体から出たっていうことは、律くんが大人になったっていうことなの」

「じゃあ、僕の身体は変になったわけじゃないの?」

「そうよ、律くんの身体は普通よ。むしろ大人になったんだからお祝いしなくちゃいけないくらいなんだから」

「そうなんだ……よかった」

律の涙が止まり、しゃくりあげながらも笑顔が戻ってきた。それを見た真帆は、自分の選択が間違ってなかったことにホッと胸をなでおろした。
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