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激しくしないでっ!
第4章 れっつぷれい!?
「あの、金曜は……」
言いかけて口ごもってしまう。
なんて言ったらいいんだろう。やっぱり家を飛び出したことを謝るべきなのかな。
彼女の顔を直視できず、うつむき加減で必死に言葉を絞り出そうとしている俺を見かねたのか、彼女からこう質問してくる。
「手首の痕、大丈夫だった?」
「え……?」
そういえば。俺は自分の手首に視線を落とした。
幸いなことに、土曜の朝の時点でうっすら残っていた痕は、ほぼ消えていた。
凝視すればほんのわずかに残ってはいたが、よほど間近でガン見しない限りはわかりない程度だ。
「全然大丈夫だよ」
「……良かった。軽くとはいえ、縄で縛ってしまったから心配だったの」
ほっと息を吐く涼川さん。
それからおもむろに俺の左手を握り、手のひらを開かせた。
「これ、あげる。本当は金曜日にあげようと思ってたんだけど、谷口くん、帰っちゃったから」
そう言って俺の手に乗せたのは、黒いリストバンド。
「カモフラージュになるかなって」
「……ありがとう」
カモフラージュするほどもう痕なんて残ってなかったけど、涼川さんの気持ちが嬉しかったので、受け取った。