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激しくしないでっ!
第4章 れっつぷれい!?
当然そこにも人がいるはずはなく、教室の電気をつけて、自分の席に向かった。
やっぱりカバンはない。確認し、顔をあげた時だった。
「――どうして私のこと、無視するの?」
突然響いたその声に、俺はびっくりして振り向いた。時間が時間なだけに、一瞬幽霊かと思った。
けどそんなはずはない。驚いたことに、視線の先、開け放したままの入り口に立っていたのは涼川さんだった。
「……なんで、ここに?」
「まだ私の質問に答えてくれてない」
彼女の声のトーンはいつもより心なしか低く、怒っているようだった。いや、実際怒っているのかもしれない。
「いや……」
二の句が継げず押し黙る。
「……なんで避けるの?」
わずかに声のボリュームを下げて、質問を重ねてくる。
「…………」
言い返す言葉が見つからない。視線を泳がすことしかできない情けない俺の目に、不意に彼女が右手にぶら下げたカバンが映った。
左手には彼女自身のカバン。カバンが二つ?
そして気付く。
――左手にある黒いエナメルは俺のだ。
「なんで俺のカバンを涼川さんが……?」