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激しくしないでっ!
第6章 順番が逆でしょう?

 彼女の家に向かいながら、しばらくぎこちない沈黙が続いた。この前とは違い、時間が時間なだけに、人通りも少ない。

 いや、少なくはないけど、帰る学生や主婦で溢れた時間帯に通ることが多い道を、学生が誰一人いない時間帯に歩くというのは、変な感じだった。

 この前彼女の家に向かっていた時だって、長い沈黙はあった。だけど今は、あの時のような期待と緊張にそわそわした、ドキドキするような沈黙じゃなくて、そこから逃げ出したくなるような、重い沈黙だった。


「……星」

「え?」


 ふいに彼女が立ち止まり、夜空を見上げた。

 俺も釣られて上を見上げる。


「夏でも綺麗に見えるんだね」


 ここは都会というほどではないけど、少なくとも田舎ではない。星が感動的に綺麗に見れるほど、空気が澄んでもいない。

 まばらに浮かぶ星を眺めながら、それでも彼女に綺麗と言われれば、特別な眺めのように思えるのが不思議だった。

 彼女は俺に、気を遣ってくれてるのだろうか。


「今日はいろいろと、ごめん。体、大丈夫? 媚薬の効果は、もうおさまった?」
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