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タワマン〜墜ちた女達〜
第2章 引っ越し〜住民会議
「大変だなぁ…。まぁ、私は気楽でいいけど。」

「そのようですね。では、ご案内します。お時間は大丈夫ですか?」

「まぁ、急ぎの用事はないので。きれいなコンシェルジュさんと一緒のほうが楽しいし。」

狩野が敢えて軽口を叩いてみる。高城はメガネの奥を光らせ、軽蔑したように狩野を見る。

「奥様に言いつけ…、狩野さんの場合は特に問題はないのですね…。しかし、共有施設はあくまでも住民の方々のもの…。私を巻き込まないでいただけたら。」

「だから、なんですぐそういう話に…。寂しい一人暮らしで、女性と話す機会も少ないし、せっかくこんな美人と話せるチャンスだからと…それだけですよ!さすがに初対面で手を出そうなんてできませんよ!」

「初対面じゃなければ出すのでしょうか?では、今後狩野さんと会う時は気をつけなければ…。」

「そういう意味じゃ…。と、とにかく…、一人暮らしで会話に飢えてるだけですから…。話したいんですよ…。」

「では、そういうことに…。まずは一番上から案内します。」

無表情のまま、高城は狩野に先立ち歩き始める。はぁ…とため息をついて、狩野は高城の後ろに着いていく。

「こちらがスカイラウンジと言われるお部屋です。必要であればバーテンダーの人を手配したりも可能です。」

広々として眺望の良い部屋。ホテルのように高級なソファが並ぶ。奥にはバーカウンターがあり、酒類が並ぶ。

「続いてこちらがパーティールームです。キッチンも併設しておりまして、こちらも料理人を手配できます。」

こちらも広々とした部屋に大きなダイニングテーブルやアイランドキッチンが置かれ、大勢がパーティーできる施設だ。

「こちらがトレーニングルーム。最新の設備が整っています。こちらがプール。そして、こちらはカラオケルームです。防音もしっかりして、鍵も掛かりますし、外から覗けないので、愉しむならここが一番かと…。」

「じゃあ、早速…。って、すみません…。」

お決まりのように男女の行為を連想させる高城の言葉に乗り、狩野が襲う振りをしてみると、思った以上に冷たい視線に、狩野はすぐ謝る。

「…私達、コンシェルジュは可能な限り、住民の方のご要望に応えるように言われております…。」

急に真剣に答える高城。このまま狩野が襲っても文句は言わないとばかりに…。シリアスになりかけた雰囲気を慌てて打ち消す。
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