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タワマン〜墜ちた女達〜
第13章 3人目〜高城礼奈~
大学まではそれでも良かった。犯罪者の娘と怖がられ、いじめられ、馬鹿にされても、必死に勉強して見返してやるつもりだった。しかし、大学4年の卒業前にそれまで母の世話や、治療費を面倒見てくれた祖母が急死する。服役中の父親以外の肉親がいなかった礼奈は母の世話も治療費も全て自分がしなくてはいけなくなった。
友だちとの遊びも、男性との付き合いもせず、勉強に打ち込み、その後はなんとかコンシェルジュの仕事を得て、高いお金を払って、母の世話を病院に頼み、自分は仕事に邁進してきた。
しかし、礼奈の精神も限界に近かった。稼いでも稼いでも母の治療費というより、維持費に金を吸い取られ、自分の生活も満足にできない。そんな中での狩野の誘い。

トコトコとカラオケルームに向かう礼奈の足どりは重かった。カラオケルームに着くと、狩野が所在なさげに前で立っている。深々と一礼し、ドアの鍵を開ける。

中に狩野を促し、狩野が入るとドアを閉めて鍵をかける。礼奈はドアの前に立ったまま、ソファに座った狩野を見つめる。

「さて、返事を聞かせてもらいたいが…。」

「その前に聞かせてもらいたいのですが…。」

ぼつりと礼奈が狩野に言う。相変わらずの無表情ぶり。礼奈の心内がわからず、狩野は聞き返す。

「何を聞きたいのかな?」

「どうして私を…?狩野さんほどの人なら私なんかより綺麗な人を抱けるでしょう?言い寄って来る女性だってたくさんいるはず…。なのに何故、危険を犯してまで、犯罪者の私を…?」

礼奈の疑問に狩野は確かに疑問だろうと考える。狩野が本気になれば、脅迫めいたことなどせず、女性を抱ける。金をチラつかせれば言い寄って来る女性など多々いるだろう。狩野それでは面白くないのだ。簡単に金に靡く女性ではなく、こうして、カが抱けないはずの女性を抱くことに興奮するのだから…。晴香も真千子も同じなのだ。人妻だからこその部分がある。
しかし、それを素直に礼奈に伝えることはしない。狩野は礼奈に向かって言う。

「そんなの簡単な答えですよ…。私は高城礼奈が抱きたい。それだけですよ…。初めて会った時からずっとね…。確かに私は女性には困ってない。現に今でも複数の女性を抱いている。それでも私は礼奈…君を抱きたい…。見てご覧…。君を抱きたくて、昨日からずっと…興奮しっぱなしなんだ…。」

狩野が視線を下に落とす。礼奈も視線を下げる。
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