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タワマン〜墜ちた女達〜
第4章 1人目〜伊藤晴香〜
リビングのソファに晴香を座らせ、狩野はタイミング良く、ちょうど作ったコーヒーを出してやる。大のコーヒー好きの狩野は自分で2杯は飲めるように用意していたのを分けることになった。

「すみません…。突然、おしかけてコーヒーまで…。」

ますます、恐縮する晴香。狩野は晴香のほうが年上だと思うが、何か保護者にでもなった気持ちで返事する。

「気にしないでください。たまたま自分で飲もうと思って、多めに作ってしまって、飲んでもらえると助かります。しかし…。」

狩野はテーブルを挟んで晴香の真向かいに座ると、テーブルに置かれたお菓子の箱に視線を向ける。

「これを私が受け取らなかったら、旦那さんに怒られるなんて、穏やかではないですね…。どうして…?」

「そ、それは…。しゅ、主人は上の階の方に凄く気を使っているので…。」

「そんなに柊さんを恐れているんですか…?同じ会社だと聞きましたが…。しかし、いくらなんでもやりすぎじゃ…。あなたも毎日、自主的にマンションを掃除したりしているみたいですが…。そこまでしなくても…。」

「あっ…。いや、それは…。」

晴香は俯き、言葉に詰まる。その様子に狩野の嗜虐心や征服欲を刺激される。そういう儚げな雰囲気を晴香は醸し出しているのだ。せっかくの美人であるのに、少し疲れた様子が、狩野をムラムラさせる。着飾らない晴香の服は質の良いものだが、主張しない落ち着いたもので、身体のラインが良くわかる。均整の取れた身体に欲情している自分に狩野は気づく。

『いかん、いかん…。何考えているんだ…。相手は人妻だぞ…。』

慌てて狩野は頭を振って、良からぬ考えを振り払う。

「私は引っ越して来たばかりだし、無職の身。余計なしがらみもないので、正直に話しませんか?」

狩野が優しく晴香に言う。しばらく黙っていた晴香だが、意を決したかのように顔を上げる。

「しゅ、主人は…とても仕事人間で…土日だろうが、深夜だろうが関係なく働く人で…。しかも、1度仕事で失敗しているんです。その時、助けてもらった柊さんの旦那様には恩を感じてて…。柊さんのためになるならと…。だから、わざわざ同じマンションに住み始めて…。私にも、奥様に失礼のないようにと…。」

「それは…。旦那さんはそれでもいいかもしれないが…、あなたまで付き合う必要性は…。」

「だめなんです…。手伝わないと…。」
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