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タワマン〜墜ちた女達〜
第4章 1人目〜伊藤晴香〜

旦那がいくら仕事人間だからと言って、晴香も唯々諾々とそれに従う必要などないと思った狩野だが、「だめなんです」と言った晴香の言葉は絶望の色が滲んでいた。
「手伝わないと…。私は主人に捨てられたら…生きていけません…。」
「そ、そこまで…?」
「実は…、私の父は…主人達の会社の下請け工場を営んでいました。でも…私が大学を卒業する時に多額の借金を抱えて…。そんな時に主人が私と結婚させてくれるなら、借金をいくらか肩代わりするし、仕事を回してやるからと…。」
「なっ!?そ、それは…ヒドいな…。」
「で、でも…その時は私も…喜んでしまったんです。父は厳しくて、アルバイトなんかもさせてもらえず、女子大に通わされて…。大したことができない私が…1流企業の妻になれると…。私も良い生活ができると夢見てしまったんです。」
「あぁ…。なるほど…。それでご結婚を…。」
「はい…。結婚して5年ほどは良かったんです…。主人の仕事は順調で…。忙しくて、あまり構ってもらえませんでしたが…。実家の借金を返すため頑張ってくれて…。でも…、5年前に…主人が会社で失敗して…エリートコースから外れてしまったんです…。その頃から主人は失敗を取り返そうと、ますます仕事にのめり込み…社長に気に入られるためにここに無理して引っ越ししてきて…。私生活でも社長のサポートできるようにと…。そして、私にもそれを手伝うようにと…。」
かなり重たい話に狩野はコーヒーを飲むのも忘れ聞き入る。
「それからマンションの掃除や片付けを率先してやるようにと…。それに…会議の日だけは早く帰ってきて、会議の様子も確認されるんです…。何を手伝ったかなんかも…全部。」
「それで…私が手伝ったことも話したから…これですか…?」
狩野はそう言って、目の前のお菓子を見る。
「は、はい…。狩野さんが手伝ってくれたと言ったら、慌てて手土産買って挨拶しに行けと…。このお菓子も普段買わないような高級品で…。絶対、粗相のないようにと…。」
「そうだったんですね…。では、受け取りましょう…。」
「ありがとうございます!良かった…。」
ここでようやく、晴香は笑みを浮かべる。笑った顔は思わず狩野がドキリとするほど可愛く見える。
「そ、そしたら…旦那さんには、私が喜んでもらったと伝えてください。ここで上がって話したことは内緒にして。」
「手伝わないと…。私は主人に捨てられたら…生きていけません…。」
「そ、そこまで…?」
「実は…、私の父は…主人達の会社の下請け工場を営んでいました。でも…私が大学を卒業する時に多額の借金を抱えて…。そんな時に主人が私と結婚させてくれるなら、借金をいくらか肩代わりするし、仕事を回してやるからと…。」
「なっ!?そ、それは…ヒドいな…。」
「で、でも…その時は私も…喜んでしまったんです。父は厳しくて、アルバイトなんかもさせてもらえず、女子大に通わされて…。大したことができない私が…1流企業の妻になれると…。私も良い生活ができると夢見てしまったんです。」
「あぁ…。なるほど…。それでご結婚を…。」
「はい…。結婚して5年ほどは良かったんです…。主人の仕事は順調で…。忙しくて、あまり構ってもらえませんでしたが…。実家の借金を返すため頑張ってくれて…。でも…、5年前に…主人が会社で失敗して…エリートコースから外れてしまったんです…。その頃から主人は失敗を取り返そうと、ますます仕事にのめり込み…社長に気に入られるためにここに無理して引っ越ししてきて…。私生活でも社長のサポートできるようにと…。そして、私にもそれを手伝うようにと…。」
かなり重たい話に狩野はコーヒーを飲むのも忘れ聞き入る。
「それからマンションの掃除や片付けを率先してやるようにと…。それに…会議の日だけは早く帰ってきて、会議の様子も確認されるんです…。何を手伝ったかなんかも…全部。」
「それで…私が手伝ったことも話したから…これですか…?」
狩野はそう言って、目の前のお菓子を見る。
「は、はい…。狩野さんが手伝ってくれたと言ったら、慌てて手土産買って挨拶しに行けと…。このお菓子も普段買わないような高級品で…。絶対、粗相のないようにと…。」
「そうだったんですね…。では、受け取りましょう…。」
「ありがとうございます!良かった…。」
ここでようやく、晴香は笑みを浮かべる。笑った顔は思わず狩野がドキリとするほど可愛く見える。
「そ、そしたら…旦那さんには、私が喜んでもらったと伝えてください。ここで上がって話したことは内緒にして。」

