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タワマン〜墜ちた女達〜
第14章 温泉旅行 礼奈編
「ああ、先に泊まって1週間ほど滞在するから、これに参加するふりして1人で来い。朝までたっぷり可愛いがってやるから…。」

「はいぃ…!もちろん行きますぅっ…!一泊ならぁ…怪しまれないと…思ひますゅ…。うはあぁんっ!」

ほぼ命令する形で真千子の了承を得る。最後に紗綾を誘う。紗綾のアパートで二人でベッドで寄り添いながら、狩野は話す。

「紗綾。今度一緒に温泉旅行に行かないか?」

「旅行…ですか?」

「ああ、紗綾の仕事も忙しくて、デートらしいデートもできていないだろ?知り合いが温泉旅館をオープンさせたらしくてね…。そこに二人で行ってみないか?紗綾の時間が取れればだけど。」

「行きますっ!もちろん…。孝宏さんと温泉旅行…。嬉しい。でも…平日は厳しいから…土日になると思いますけど、予約とか大丈夫ですか…?高いだろうし…。」

「心配ないよ。オーナーが知り合いだから、問題ない。」

「だったら…ぜひ。絶対行けるように仕事頑張って終わらせます!」

「良かった。じゃあ、土日で…土曜の朝行って、日曜の夕方に戻るスケジュールで考えておいて。」

「はい。本当に…嬉しい…。んチュッ…。ちゅっ…。」

こうして狩野は3人と日にちを調整したのだった。
初日の今日、旅行バッグを下げた狩野は1人タクシーに乗り込む。
最寄り駅に着き、電車に乗り換える。あとは1時間ほどで着く。狩野が座席に座ってのんびりしていると、隣にするっと人が座る。

「ずいぶんおしゃれだな。似合ってるぞ。」

「ありがとうございます。でも、ここでは盛らないでくださいね。」

狩野の言葉に釘を刺すように返すのは礼奈だった。旅行バッグを抱え、清楚なワンピース姿。狩野が礼奈のお出かけコーデを見るのは初めてだった。

「よろしくお願いいたします。」

礼奈は座ったまま頭を下げる。褒められて照れている顔を見られたくないのだろう。

「そういう堅苦しいのは旅行中は無しにするか…。デート気分で社員旅行としようか。」

「デート気分の社員旅行とは、かなり矛盾していると思いますが…。狩野様がお望みなら…。」

「望みだ。それから、二人きりの時は「孝宏さん」と呼んでもらうかな。さすがに様付けはマズいからな。」

「はい…。た、孝宏さん…。」

少し緊張したように言う。礼奈のカバンを握り締めた手が震えている。狩野はそっと手を添える。
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