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タワマン〜墜ちた女達〜
第25章 狩野の日常④
2人で昔話に花を咲かせ、気がつけば、かなり遅い時間になっていた。

「おっと…。そろそろ終電がなくなる時間だ…。佐藤さんはどこに住んでるの?」

「ここからタクシーで10分くらいのとこ。終電は気にしないけど…、そろそろ帰りましょうか?」

「ああ、今日は楽しかったよ。声かけてくれて良かった。」

昔話ばかりで、ほとんど美夜のことを聞くことはできなかったが、それでも旧知の間柄で交友を温められたのは狩野にとっても楽しい時間であった。

「私も楽しかった…。良かったら、連絡先交換しない?私、時々、柊社長に会いにマンション行くから…。またぜひ飲みに行かない?」

「ああ、もちろん。」

そうして、2人は連絡先を交換して、別れる。タクシーに乗り込み帰る佐藤を見送った狩野は自室に戻る。

『佐藤恵美だったか…。なんてラッキーなんだ…。彼女を使えば、美夜に近づくことができるかもしれない…。そのためにも仲良くしないとな…。』

狩野は美夜への手がかりとして、佐藤が使えると考えていた。また、チャンスがあれば佐藤を抱きたいとも考える。佐藤自身、魅力的な女性である。
久しぶりに会ったとは言え、数年前に会った男性を飲みに誘うくらいだ。佐藤の狩野に対する印象は悪くないどころか、良いと言ってもいいのだろう。抱けるチャンスは十分にあるはずだ。

『ただ、晴香達に怒られそうだな…。』

狩野はすでに6人の女性を抱えているのだ。これに美夜を加えたいとは公言しているが、佐藤も入れたら8人になってしまう。さすがの狩野も躊躇う。
佐藤に手を出さずとも、美夜に近づくことができれば良いのだが…。

その日の夜、狩野は久しぶりに誰ともベッドを共にすることなく、一人だ。最近は常に誰かが隣にいる感覚が強い。

酒が残る体を横たえ、大きく伸びをする。

『たまには一人もいいもんだ…。』

のんびりタバコに火を点ける。晴香達がいるときはあまり吸わないようにしているが、久しぶりにする寝タバコも新鮮に感じてしまう。
狩野はきっちりタバコの火を揉み消すと、そのまま、眠りにつこうとベッドに潜り込む。

ちょうどその時、携帯が鳴る。誰かからのメッセージだ。

『こんな遅い時間に誰だ…?』

狩野は不審に思って携帯を開く。

【今日は楽しかった♡また飲みに行きましょうね?おやすみなさい。】

佐藤からの律儀なメッセージであった。
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