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第27章 ホームパーティー

「このパーティーは特に解散時間など決めておりませんので、途中退席も可能ですから、ゆっくりと楽しまれてくださいね。」

美夜が狩野に声をかける。狩野が頷くと、美夜はパーティールームに設置してある小さなステージに向かう。

「皆さん、こんにちは。今日はお集まりいただき、ありがとうございます。何度かご参加いただいている方も、初めての方も、気兼ねなく、食べて、飲んで、交流を深めていただけたら、幸いです。また、本日女性の方がお召しになっているのは全て、当社が扱うものです。私が僭越ながら、コーディネートさせていただいております。気になったものがあれば、佐藤の方までお申し付けください。では、乾杯！」

美夜の挨拶で正式にパーティーがスタートする。狩野は美夜の言葉に「なるほど」と感心する。このパーティーはファッションショーも兼ねているようだ。美夜が経営するアパレル会社で取り扱う服を全員に着させることで、マネキンやWebで見るよりはコーディネートなどわかりやすい。

狩野はそんなことを考えながら、まずは風花と萌衣のところに挨拶に行く。

「椎名さん、蒲田さん、こんにちは。このようなところで会うのも不思議な感じですね。」

「狩野さん、こんにちは。いつもはトレーニングルームで会うくらいですものね。」

「ランニングの時によくすれ違いますね。それにしても狩野さんがトレーニングウェア以外を着てるの初めて見た気がします。」

風花も萌衣も狩野と話すのは久方ぶりのように如才なく言葉を交わす。やたらと親しげでもなく、かと言って初対面でもない。その微妙な感じを上手く醸し出す。さすがはセレブ。こういったことは上手い。

狩野と風花達は当たり障りのない話をして、互いに別のテーブルに向かう。３人でばかり話していては怪しまれる。

狩野が次に向かうのは恵美のところだ。恵美が上手く演技できるか心配なところだが、挨拶しないわけにはいかない。狩野がこのパーティーに出席できるのは恵美のおかげなのだから。

「佐藤さん、こんにちは。凄いね、このパーティー。」

「あっ、狩野さん。楽しめてますか？飲み物足りてますか？」

「大丈夫ですよ。美味しい料理と飲み物もいただいてます。」

「それは良かった。狩野さんとこうやって話すのも、プロジェクト終わりのタイミングであった懇親会以来かしら？」

「ああ、そうだったかも。」