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タワマン〜墜ちた女達〜
第28章 6人目〜柊美夜〜
返ってきたのは美夜と恵美のジトとした呆れた視線だった。

「そ…そう言うの…好きなの…?孝宏は…?」

「も…もしかして…他の人にも…着せたり…してる…?」

2人にはコスプレなどの経験がないのであろう。かなり戸惑っているようだ。

「ああ、刺激が足りないと思えば、時々な…?2人も美人だから、何着ても似合うだろうし…。」

狩野は2人が嫌がっていると思い、あくまでも時々であることを強調しつつ、似合うからと褒めておく。

「ま…まぁ…孝宏が…着せたいなら…。着ても…いいわよね…?バニーガールとか…美夜は似合うんじゃ…?」

「そ…そうね…。たまになら…そういうのも…有りよね…。恵美は…秘書とか…CAとか…かしら…。」

2人の反応に狩野は自分の間違いに気づく。どうやら2人は元々、コスプレ自体には興味を持っており、互いに着せたい衣装があるようだ。互いに遠慮して言い出せなかったのだろう。狩野の要望なら…ということにして、ここぞとばかりに着せたい衣装を考えている。

「じゃあ…次回は何かしら衣装を着てみるか…。2人で衣装を決めておいてくれ…。」

「わかったわ!任せておいて!萌える衣装を考えとくわ!」

恵美が目をキラキラさせて答える。美夜もコクコクと頷く。

こうして、3人の濃密な時間が終わりを告げる。別々にシャワーを浴び、さっぱりした後に、狩野が美夜と連絡先を交換してから狩野は帰る。

狩野が去った後、美夜と恵美はしばらく無言だった。互いに何かを言いかけては口を閉じる。やがて、恵美のほうが意を決して、美夜に声をかける。

「ね…ねぇ…。美夜…?お…怒って…ない…?私が孝宏に抱かれたこと…。」

「ん…?うん…。最初…2人が…キスしてるの見て…ショックだったわ…。悲しかった…。でも…私に…恵美を責める権利は…ないわ。私が…私自身が…浮気なんだから…。」

「み…美夜…。」

「それに…昨日からのことで…怒りも…どこかに行っちゃった…。そんなこと考えてる余裕なんてなかったもの…。彼の言う通り…本当に…全部…忘れちゃったわ…。」

「美夜…。ごめんね…。でも良かった…。今の美夜…笑ってる…。久しぶりに見たわ…。」

「私のほうこそ…ごめんね…。恵美には無理させていて…。これからは…互いに…もうちょっと…素直でいましょ…?」

「うん…。」

美夜と恵美の影が重なり合う…。
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