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タワマン〜墜ちた女達〜
第4章 1人目〜伊藤晴香〜
こうして、狩野と晴香は連絡方法や会う際の注意事項を決める。もう時刻は16時くらいになっている。

「最後に大事なことを確認しておかなきゃ…。」

狩野がそう切り出す。

「はい。何でしょう…?」

「隣の湯中さん…。それからコンシェルジュの高城さん…。二人について聞きたい。」

「湯中さんと…高城さん…?それは…。」

「さっきも言ったけど…、この関係がバレたら、俺はともかく、晴香はマズいことになる…。そして、一番バレやすいのが、隣に住む湯中さんと、コンシェルジュの高城さんだ。」

晴香が狩野の部屋に出入りし始めれば、隣の湯中が気づく確率は高くなる。そして、各階を管理する高城にも。

「だから…二人の弱みを握りたい。まずはこの二人を従わせれば、俺達の関係がバレることがなくなる。」

「は、はい…。そうです…ね…。」

晴香は頷くが、なんとなく不満気な様子である。湯中や高城を従わせるのに、狩野は二人を抱くだろう。そうなると、晴香は捨てられてしまうかもしれない。その恐怖が態度に出ている。

「晴香…。あくまでも二人を従わせるのは、晴香との関係を続けるため…。心配しないで。」

狩野が晴香の頭を撫でてくる。嬉しそうにその手に身を委ねる。

「は、はい…。わかってます。わかってますけど…。少しだけ…不安で…嫉妬しちゃいそうで…。」

「そうだね…。でも、いずれわかる。晴香が一番だと…。」

自信たっぷりに言う狩野にとりあえず安心する晴香。

「コンシェルジュの高城さんは…とりあえず木曜が休みで…、それ以外は不定期で休んでるくらいしか…。」

「プライベートの話とかは…?」

「まったく…。不思議な人で…。あまりそう言った話は…。」

晴香が困ったように笑う。確かに不思議ちゃんだった。

「隣の湯中さんは…。ほとんどお話したことないので…。でも…。湯中さん…、たぶん…不倫されてると…。」

「ほうっ?それは…?」

狩野が身を乗り出す。湯中の秘密を握れるかもしれないのだ。前のめりで聞く狩野に晴香が恐る恐る言う。

「以前から何度か…若い男性が湯中さんのとこに…。私がたまたま掃除してる時に見かけて…。部屋に入るところを見たわけじゃないですけど、一緒にいるところは見ました。」

「なるほど…。いい情報だ…。ありがとう。」

「いえ…。他に何かわかったら教えますね…。」
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