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第30章 最上階での宴

狩野が礼奈に対して、美夜、萌衣、風花、真千子、晴香の５人を集めることを指示してから、約１ヶ月。日程も決まり、その日まであと1週間と迫った日に狩野は紗綾の部屋を訪れていた。
初めて紗綾が狩野の部屋を訪れてから、その後も数回、紗綾は狩野の部屋に来たが、この日は狩野が紗綾の部屋に来ていた。

「コーヒーどうぞ♡」

「ありがとう。いただくよ。」

紗綾は下着姿にエプロンだけ付けた姿で狩野にコーヒーを出すと、隣に座る。

「それで…お話って何ですか？」

狩野の顔を覗き込むようにして問いかける紗綾。その瞳には若干の不安の色が滲む。狩野が部屋を訪れて、一戦を終えた後に狩野から話があると言われた。普段とは違う雰囲気に何を言われるのかわからず、不安な気持ちを隠せない紗綾。

「いや…、もう少し先の話になるんだけど…。紗綾、引っ越ししないか…？」

「引っ越し…ですか…？それは…どういう…？」

狩野の引っ越しという言葉の意図がわからず、首をかしげる紗綾。

「今度、自分で新しいマンションを建てるつもりでね…。そこに部屋を借りてほしいんだ…。」

「孝宏さんが…マンションを…？そこに…私が…？」

「ああ、今みたいに離れてると、会う機会も制限されるから…。それなら、いっそ同じマンションに…と思って…。俺は新しく建てたマンションの最上階に住むつもりだから…。」

「そ…それは…。嬉しいけど…。さすがにそんなお金は…。それに…。」

紗綾は続けようとした言葉を飲み込む。

『それに…他の女性はどうするつもりですか…？』

本当はそう聞きたかった。狩野には自分以外に女性がいる。しかも、複数。それには薄々気づいている紗綾。しかし、それを自分から言うのは憚られた。そんな紗綾の揺れる気持ちを察したように狩野が言う。

「紗綾は気づいていると思うけど…。俺には他にも女性がいる。紗綾…。君以外に７人の女性と俺は関係を持っている…。」

「な…７人…！？私以外に…７人…？」

狩野の告白にさすがに唖然とする紗綾。２、３人くらいはいるのかと思ってはいたが、まさか７人とは思ってもいなかった。さらに続く狩野の言葉に驚愕する。

「７人の内、４人は人妻だ…。」

「へっ…？ひ…人妻…？」

衝撃の言葉に紗綾はオウム返しに呟く以外出来なかった。

「ああ、軽蔑されるだろうけど、事実なんだ…。」