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タワマン〜墜ちた女達〜
第30章 最上階での宴
狩野は自嘲するように笑う。それに対して何も言えない紗綾に狩野は言葉を続ける。

「もっと軽蔑されるかもしれないけど、新しいマンションにはその7人も一緒に住んでもらうつもりだ…。そして、紗綾…。君にも住んでほしいと思っている。」

「わ…私も…一緒に…。」

思考がついていかない紗綾に時間を与えるように頷くだけで黙る狩野。

礼奈に今後のことを聞かれ、考えた結論がこれだった。狩野は自身でマンションを立て、そこに自分と関係を持つ女性を住まわせる。新たな淫欲に塗れたタワマンを建てるのだ。

それを機に紗綾もそこに呼び寄せる。そう考えた狩野。マンションの外に住む紗綾は狩野にとってマンションのしがらみに属さないことで癒やしとなっていた。しかし、新たなマンションに住むことで、階数の上下関係など失くしてしまえば、それも必要なくなる。自分のマンションで自由に出来るならと、紗綾に全てを伝え、呼び寄せることにしたのだ。

まだ建設にも至っておらず、晴香や真千子などの既婚者をどうやって住まわせるか。その妄想を実現させるために越えなければいけないハードルは多々あるが、狩野はやるつもりであった。

その手始めとして、紗綾に全てを打ち明け、引っ越しを勧めた。紗綾が7人もの女性と関係を持つことを嫌がり、別れることになるかもしれない。その危険を犯してでも、狩野は真実を紗綾に告げた。あとは紗綾の返事を待つだけだ。

「わ…私を入れた…8人で…そのマンションに住むつもりなんですか…?孝宏さんは…。」

「ああ、できればそうしたいと思っている。俺が最上階に住んで、その下に8人が住むそれぞれの部屋を用意する。そうしたら、人目を憚らずに、いつでも自由に出入りして、好きな時間に会えるようになる。」

「孝宏さんと…好きな時間に…?」

「もちろん、このままここに住み続けるのも構わない。7人の女性と付き合っているのを知っても、俺との関係を続けてくれるなら、今まで通り、会いに来る。」

「今まで通り…。そうですか…。」

「結論はすぐに出さなくてもいい…。まだマンションは建設されてもいない。ゆっくり考えてもらって構わない。俺との関係を考え直すことだってしても…。」

「す…住みます…。私…引っ越しします!」

自分との関係を見直すことも考えてと言おうとした狩野の言葉を遮り、紗綾が引っ越しを宣言する。
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