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放課後のマドンナ
第8章 小百合の嫉妬
小百合が泣きながら帰宅した。
「小百合、何があったの?」
母の問いかけにも答えずに
一目散に自分の部屋へ飛び込んだ。
娘の様子に母の郁恵は不安で仕方ない。
『学校で何があったのかがすら?』
のどかな学校なのだ。
今まで虐め問題など聞いたこともない。
でも…もしかしたら小百合が
虐め問題の第一号になったのかもしれない。
スマホを持たしたのは間違いだったかしら…
ああいうモノを持つと
会話でなくSNSなどで文字による意思の疎通になり
顔を見て会話するよりも
ニュアンスが読み取れなくて
何気ないことから仲違いすることもあると聞く。
『担任の先生に聞いてみようかしら…』
新任の清水先生に連絡を取りたいけれど
まだ担任が代わったばかりで連絡先を聞けていない
明日になれば学校に連絡すれば
清水先生から話を聞けるだろうけど
こういうことは早めに手を打つのに限る。
もしかしたら前任の保坂先生なら
清水先生の連絡先を知っているかも知れない。
不倫で学校を辞めたらしいから
忌々しい先生だとは思ったけれど
今は保坂先生しか頼れる人がいない。
郁恵は意を決して
前任の保坂先生に連絡を入れた。
長い呼び出し音が鳴り響く。
なかなか電話に出てくれない…
諦めて通話を止めようとしたその時、
『はい、江坂です…』と
懐かしい保坂先生の声がした。
えっ?江坂?
声の主は間違いなく保坂先生だと思ったのだが
うっかり連絡先を間違ったのかしら?
「あの…保坂せんせでねのだが?」
『あ、保坂は旧姓なんです
今は結婚して江坂と名乗ってます』
まあ!結婚したんだ!
不倫もゴールが結婚という形になると
おめでとうと言わざるを得なかった。