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放課後のマドンナ
第9章 本当の愛
「やだぁ~、そんなに驚かないで下さいよ」
声をかけてきたのが美佐恵だった。
「君、帰ったんじゃなかったのか?」
「ええ、一度自宅に帰って
また戻って来たんです」
これ、よかったら食べてください。
食事、まだなんでしょ?
美佐恵は自宅に戻って
正昭のためにお弁当を作って来てくれたのだ。
「ありがたい、腹ペコだったんだ」
おにぎりを頬張りながら
気の利く子だなあと正昭は感心した。
しかし、何故、こんな自分のためにお弁当を?
「だって…正昭さんが好きだから…」
そういう美佐恵の台詞に
自分はからかわれているのだと思った。
堅物で融通のきかない頑固者…
誰もが正昭の事を陰口でそう言っているのを
彼自身が気づいていたからだ。
今もどこかに隠しカメラがあって
美佐恵にお弁当を作ってもらって
鼻の下を伸ばしている照れた顔を
盗撮されているのではないか
そんな風に思ってしまった。
「冗談はよしてください」
女性から告白されたことなど
生まれて一度もないだけに
それが美佐恵の本心だとは気づけなかった。
「本当ですよ、
私、正昭さんの真面目なところが好きです」
そう言って美佐恵は後ろから正昭に抱きついた。
「こら、冗談にもほどがあるぞ」
「冗談ではないです
真剣にあなたが好きなんです!」
そう言って美佐恵は正昭にキスをした。