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放課後のマドンナ
第10章 結ばれる二人
「小百合!お前、バカじゃねえのか!
こんなに雪が降っているのに傘もささないで!」
小百合の頭や肩に降り積もった雪を
せっせと払い落としながら淳一は小百合を叱った。
「良かった…淳一くんに会えた…」
ホッとして安心したのか
小百合は淳一に抱きついて
子供のように泣きじゃくった。
そんな二人に母の美佐恵はソッと傘を差し出した。
「二人とも、そろそろ家の中に入らない?
凍えちゃうわよ」
「いえ…私、淳一くんに
こうして会えただけで満足です…」
じゃあ、淳一…私、帰るわね
小さくバイバイと手を振って
小百合は名残惜しそうに帰路に足を運び始めた。
「淳一…何をボーッとしてるの!」
ほら、送ってあげなさい
傘を淳一に手渡すと背中をバンバンと叩いた。
「もう引きこもりに飽きたでしょ?
外の空気を吸うつもりで少し歩いてきなさい」
母の美佐恵には有無を言わせぬオーラが漂っていた
「わかった…少し歩いてくる」
傘を受け取った淳一は急いで小百合を追いかけた。
「小百合!待てよ。送っていくよ」
思いがけずに相合い傘で歩けることに
小百合はリンゴのような紅い頬っぺたを
さらに真っ赤にして泣きじゃくった。