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放課後のマドンナ
第10章 結ばれる二人

「ここが私の家です」
「ここって…」
その家は通学路で何度も横を通っていた。
でかい門構えに重厚なお屋敷なので
さぞや大富豪の邸宅なのだろうなと
淳一はいつも思っていた。
「小百合んとこって…金持ちだったんだ…」
「成金よ…先祖代々から引き継いできた山が
高速道路を作るから売ってくれって言われて
普通じゃあり得ない金額で買ってくれただけ」
さ、上がっていって…
小百合は淳一を招き入れようとした。
「あ、いや…
今夜は小百合を送り届けただけだし…」
それに髪も髭も伸び放題だし、
こんな身なりで小百合のご家族には
会うわけにはいかないと思った。
「両親とも法事で出掛けているから…
今夜は帰ってこないの…」
だから…上がってほしい…
小百合は帰さないぞとばかりに
淳一の袖口を強く握りしめた。
せめてお茶だけでも…
ここまで言われたら申し訳なくて
じゃあ、お茶だけ頂いて帰りますと
淳一は小百合の家の敷居を跨いだ。
「すぐ暖かくなるからね」
小百合は居間の大きなストーブに火を入れた。
大きな家なので床暖房とか
エアコンがフル装備かと思ったが
室内は外観と違ってやけに質素だった。
「笑えるでしょ、外観ばかりにお金をかけて
中身はすっからかんよ
成金の見栄っぱりって奴よ」
そう言って、これまた古くさいガスコンロで
ヤカンに湯を沸かした。

