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放課後のマドンナ
第6章 ナンパ

「街に?」

この片田舎から街へ繰り出すには
電車で一時間はかかる。

だから、学校の奴らのほとんどは
こっちの駅前の唯一のスーパーの中にある
ゲーセンでたむろすることがほとんどだった。

「何しに行くんだよ」

服などを買うなら駅前のスーパーで十分だ。
何も好き好んで電車に乗って市街地へ行くことはない。

「まあまあ、帰りながらゆっくり話すべが」

周りに皆がいると具合が悪いのか
キョロキョロと人目を気にしながら加藤は言った。


田んぼの畦道に腰掛けながら
加藤が「淳一、おめさあ、モテるんだべな?」と
重い口を開きながらそう言った。

「何だよ唐突に」

「わーさあ…ナンパっての、すてみでんだよ」

「すればいいじゃん」

「わのような醜男声かげでも
だぃも気さ入ってもらえねじゃ」

そこで、お前が声をかけて
女を釣ってもらいたいのだと加藤は言った。

「何だよ!人を餌みたいに言うなよ!」

そう言って加藤を詰ったが
淳一もナンパをしたことがなかったので
興味を抱きはじめていた。


言葉ではナンパなんてしたくないと言いながら
翌日の土曜日には加藤と二人仲良く並んで
電車に揺られていた。

「どったおなごがいるのがワクワクするね」

言葉にこそしなかったが
淳一もまた初めてのナンパに心を踊らせていた。

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