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 縄師-Ⅳ ちづるとみひろ
第2章  非日常
「膝の力が入らなくなった……。食い込んでくる……痛い」

 みひろが脳内で追体験をしている。

 みひろの頬を叩いた。
「目を覚ましなさい。みひろ」

  みひろが薄目になって自分の世界から出てきた。

 そうか。こんな女性もいるのだ。だから近年木馬がSMグッズになったのかもしれない。

 感じ方は人それぞれでいいのだ。

「みひろは、三角木馬のこと何で知ったの」

「屋上で私を裸にした彼が落としていった写真本に載っていたの」

 返しに行くことも出来ず、女性が縛られ責められている写真を毎晩見ている内に、自分を写真の女性に置き換えていたのだと言う。

 そうか。先輩の彼も本当は裸にした先輩を縛ろうとしていたのかも知れない。
 そしてもし縛ることが出来ていたら、みひろは彼に犯されていたに違いない。 
 
 先輩が学校の屋上で裸にされて縛られる。そして卒業していく彼に何度も犯される。
 そんな想像をした私は。猛烈にみひろを虐めたくなった。


「みひろは今から囚人だよ。判った?」
 みひろに服を脱ぐように命じ、代わりに戸棚から白い囚人服を出して着せる。

 背中を柱に付け、腕は上に上げ、乳房の上下に縄をきつく巻く。
 その上から柱を背負うように後ろに廻した両手首を縛った。

「きつい……」
 みひろの吐息から言葉が漏れる。

「みひろ。お前はこの拷問部屋で役人の取り調べを受ける。正直に答えなければ拷問で問われることになる」

 みひろが妄想する。
「私はこの武家屋敷の通い女中です。いつもの男が主人に渡す文を持ってきたので、お茶と心付けを渡して帰し、文を主人に差し出しました」

 その日の帰り、役人に、訊きたいことがあるからと、奉行所に同行を命じられたのだ。

 みひろの妄想と現実がクロスする。

「お役人様。私は何も知りません」

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