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愛とは違う
第2章 素直に言えば?

負けた。
まあ、メンタル読むとか出来る訳じゃないし。
鬼はボクに決まった。
「いーい? ヒソカ。始めに十秒数えて、俺が逃げるの。で、ヒソカは俺を見つけたら……」
とことこと茂みに歩いて、赤い実の生った小さな木から無作為に実を引きちぎる。
大胆♥
その実をボクに掌に広げて見せて言った。
「俺は逃げてから、この実を潰して首に数字を書く。ヒソカがその数字を見て当てたらヒソカの勝ち。数字が間違ってたり、日が沈むまでに答えを言えなかったら俺の勝ち。いい?」
「オーケイ♠ 面白いルールだね♦ ゴンが考えたの?」
「ん。キルアと修行してたときに思い付いたんだけど、あの時は念で数字を浮かべながら逃げるのはどうかなってやろうとしたんだ。でも、夜中に一人でやってみたら疲れちゃってさ。ヒソカだったら凝使い続けてても大丈夫そうだし、不公平でしょ」
「キルアとはヤったの?」
ゴンは首を振った。
それから悪戯っぽく笑う。
「ヒソカに勝ったらキルアともやってみようかな」
「くく……負けられないね♣」
「え?」
「……いち、にい♥」
「あーっ! ずるいっ。もう!」
そう喚きながらも一瞬で木の間に隠れて気配を遠ざけて行ってしまう。
速くなったね。
二次試験の時は、ボクの姿を捕らえることすら出来なかったのに。
数を呟きながら、人差し指を見下ろす。
本当はじゃんけんの時にゴンにガムを付けておいたんだけど。
フェアじゃないよね。
「……ガム、解除♠」
目を瞑る。
繋がっていた気が途切れ、風が吹き消す。
「はち……きゅう♦」
愉しいね。
ぞくぞくしてきた。
逃げ回るキミをどう追い詰めようか。
ゴンのことだ。
一ヶ所にじっとなんてしてるはずがない。
ボクが動いたら死角を探して移動するだろ。
イイ。
イイよ。
予想外に楽しそうだよ、このかくれんぼ。
「……じゅう♣」
目を開ける。
鋭く辺りを確認して、木に放ってあったゴムを使って森の上に飛び出した。
近くの一番高い木の上に片足で乗り、周囲を見渡す。
高いところから探すのは常套手段。
痕跡も残さず逃げてるはずだ。
さて、どっちに向かった?
目を細めて空いた足で宙に円を描きながら方角を見極める。

