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愛とは違う
第2章 素直に言えば?

 開けた空間に細い川が流れる。
 近いな。
 微かな気配に目線を這わせる。
 息を潜めて、どこかに隠れてる。
 額や首筋に汗を滲ませて。
 ボクが近づく度に心臓を騒がせて。
 ああ、興奮してきた。
 早く顔が見たい。
 川は数日前の豪雨で水かさが増したのだろう、川岸に水溜まりがいくつか点在している。
 そのうちの一つが、洞穴に続いていた。
 まるで、道標のように。
 イイよ。
 罠でも。
 ヒールの先を、その濡れた地面に向ける。
 砂利を踏みつけ、少しずつ距離を詰める。
 見つかったなら飛び出すはず。
 首もとを見られないように。
 でもその小さな出口から外に出るまでにガムを付けるのは容易い。
 なら、どうする?
 濡れた岩肌を見つめる。
 奥まで続いている水溜まり。
 その水面は鏡のように静かに暗いモノクロの世界を映していた。
 わかりやすいゴンの服と白い肌まで。
 天井に足を掛けて、入り口からは死角の壁際に張り付いている。
 大した筋力だよ。
 小石を落とすようなミスもしないで、身動き一つせずに。
 でも、ゴン?
 ルールを決めたのはキミじゃなかった?
 水面にはっきりと、首筋の数字が映り込んじゃってるんだけど。
 反転した6。
 風が吹き、水面が揺れても関係ない。
 さて、どうしようか。
 ここに来るまで絶を保ってきたけど、気づいてはいるはず。
 どう出るか、待つ?
「ゴン♠」
 かくれんぼってのは、鬼が呼び掛ける遊びだからね。
「襟くらいは立てといた方が良かったんじゃない?」
 ストン、とゴンが降りてきた。
 顔は俯いたまま、首に手を当てている。
 どんな顔をしてる?
「数字は6。早い勝負だったね♦」
 暗くて見えなかった頭が持ち上がり、同時にゴンは横をすり抜けた。
 勝負は終わったものと油断した。
 急いで飛ばしたガムは靴底に貼り付き、素早く感付いたゴンが靴を脱ぎ捨てて距離を取った。
 小さな肩が、勝利に震えてる。
 川向こうに仁王立ちしたゴンが、満面の笑顔でボクに叫んだ。
「ぶっぶー! 違うよ、ヒソカっ」
 そんなに可愛い顔で言うなよ。
 ゴンはフッと、精孔を閉じた。
 そこで首筋に漂い消えたそれに、何を図られたか理解する。
 ああ、イイ。
 凄くイイ。
 ぞくっとした。
「……なるほど♣ 水面越しなら色は誤魔化せるから、数字に細工が出来た♥」
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