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愛とは違う
第2章 素直に言えば?
やった。
成功した。
本当の数字は5。
その小さな隙間をオーラで埋めて、敢えて水面に映すことで反転だけに意識を向けさせる。
色が判別できない鏡。
これが切り札。
でも、条件がある。
隠をしつつ、首筋にだけオーラを保つことと、それを凝で見破ってもらうこと。
ヒソカなら凝を使ってくると思ったんだ。
もし普通に水面を見てたなら、いくら隠でも姿はバレてた。
この賭けに、勝ったのが嬉しくて堪らない。
唇の端がくすぐったい。
ヒソカがチラリと濡れた地面を見下ろす。
「……へえ♠ 洞窟に水溜まりを作るために水見式を応用したわけだ♦」
「うっ……うん、そうだよ!」
オーラを流し込んで、水の量を増すことで洞窟内に水を入れる。
強化系にしか出来ない細工。
見破られちゃったのは残念。
首から手を離して、真顔に戻る。
「俺の数字は5だよ」
数字の誤りは負け。
勝った。
勝ったんだ。
あのヒソカに。
だけど、ヒソカはさも可笑しそうに体を曲げて笑った。
本当よくわからないよね。
負けたのに笑うの?
悔しがると思ったのに。
「くっくっ……ゴォン♥ 押さえつけすぎて数字が滲んで6にしか見えなくなってるんだけど?」
「えっ!? 嘘!」
瞬時に隣に来たヒソカが俺の首を掴んで川に向ける。
本当だ。
指の跡が変形させてる。
「でも俺、6って書いた!」
「6で合ってるの?」
「あっ、違う! 言い間違い! 俺、5って書いた絶対!」
混乱して思考と言葉が合ってない。
ようく水面を見て、ハッとした。
この指の跡、俺の指と大きさが合わない。
すぐに身を起こしてヒソカに人差し指をビシッと指す。
「ヒソカ! 今俺の首押さえるときに書き足したよね!?」
「どうやって? 赤い実はゴンが持ってたじゃないか♣」
「始めに実も拾ってたんだ。手、見せて」
返事を聞く前に手を掴んで引き寄せる。
左手は何も付いてない。
ヒソカは大人しく右手もされるがままにしていた。
「え……なんで」
両手とも赤い汚れ一つない。
おかしい。
あ、そうだよ。
「ヒソカ! ドッキリテクスチャーしてる! そうだろ!?」
指先一つ隠すのに木の葉で十分。
俺に近づいて数字に線を加えて、振り向かれる前にドッキリテクスチャーで見えないようにした。
それしかない。
よね?