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愛とは違う
第2章 素直に言えば?

 俺と居てくれるのは、暇だから?
 本当にそれだけって。
 そんなの嫌だから。
 いや、嫌ってなに?
 ヒソカが居なくなるのが、こんなに。
 わからない。
 なんで。
 隠れてるとき凄く楽しかった。
 ヒソカを出し抜けたらってわくわくして。
 さっきまで、あんなに幸せだったのに。
 終わっちゃうって考えた途端に、一人で風邪に寝込んでる時みたいな寂しさとかつまらなさとか思い出して。
 つまらないから?
 ヒソカがいないと、つまらないから嫌なのかな。
 まだ顔を見られなくて目線を下げる。
「ゴン♠」
 ヒソカの声がする。
 天空競技場で何度も呼ばれた声が。
 唇をぎゅっと結んで身を起こす。
 ばちんと視線がぶつかって、心の底まで見透かされてるような寒気が全身に駆けた。
 そして、ヒソカは、何もかも知ってるって眼で、こう云ったんだ。

「素直に言えば?」

 って。
 薄い笑みを貼り付けて。
「素直って、わかんない」
 胸がざわざわしてる。
 今更だけど、山奥でヒソカと二人きり。
 試験の緊張感はない。
 キルアもいない。
 俺が、ここにいるのを知っているのは目の前のヒソカだけ。
 そんなことばかり考えたら、わかんなくなってきちゃって。
「俺、ヒソカと一緒にいると何考えてるのかわかんなくなる。でも、なんていうか、離れたくない。またどっか行っちゃうんじゃないかって考えたら、嫌で……さっきみたいに勝負してるときはこんなこと……」
 ああもう、何いってんの。
 難しくなんて考えられない。
 なら、単純でいいじゃん。
 俺は。
 キルアみたいに頭よくないんだから。
「とにかく、ヒソカと一緒にいたい」
「いつまで?」
「出来るだけ長く!」
 間髪入れずに質問してきたことに何も考えずに答えていた。
 それを聞いたヒソカが俺の頭を大きな手で引き寄せた。
 広い胸元に抱き締められる。
 太い腕が、俺をすっぽり包んでる。
 温かくて、熱い。
「ヒソカ……?」
 顔が見られないから、俺は頭をこつんとヒソカの胸元にもたれかけた。
 静かに呼吸を繰り返す。
「ゴン、あまりそういうことを言われると、キミを玩具として見られなくなるじゃないか♣」
 低い冷たい声で。
 俺を絞め殺してしまいそうな力を込めて。
 怖くなって、抜け出そうとしてから身動きが取れないことに気づく。
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