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愛とは違う
第3章 壊させて

静かで、少し不気味。
「なんにもないね」
足を踏み入れて良いものか悩む。
だって知らない小さな空間で、キルアもジンもレオリオもクラピカもいない。
これからはこういうのが続くんだとしても、なんか落ち着かない。
ヒソカはベッドの頭の方にある大きな出窓にもたれて、俺を見た。
「入らないの?」
試すような口調で。
だって言い出したのは俺のほう。
今夜一緒になんて。
勢いで。
ぐっと歯を噛み締めて敷居を跨ぐ。
扉を閉めると、一気に空気が全身を覆うように固まった。
首が心もとなくてぞわぞわする。
なんだっけ。
緊張?
肩から力が抜けない。
「その……ヒソカは、今日のあれどうだった」
「ユニークなかくれんぼのこと? 楽しかったよ♦ 逆でやったらどうなるだろうと考えてみたんだけど、今日のキミみたいなアイディアは中々浮かばないね♠」
「勝ったもんね、俺」
勝った後の流れが蘇り、胸がぎゅっとなる。
履かせてもらった靴がむずむずする。
すっと眼を細めたヒソカに全部見破られているようで、視線が揺れる。
「また、さ。ああいうのやろうよ。ヒソカと勝負してるとスゴい楽しいし」
自分の声だけやけに響いてる気がする。
「そうだね♥」
いつまでも扉の前から動けない足。
なにこれ。
なんで。
昼とは違う。
広場にいた時とも違う。
薄暗くて、狭いから?
それだけじゃない。
俺……
変な緊張してる。
汗がじわりと腿を伝う。
前からヒソカのクスクスと笑い声が聞こえた。
「今のゴンは随分と」
そこでやっと目が合う。
「美味しそうだ♣」
反射的に扉に伸ばそうとした手が宙を掻く。
足元のマットが引っ張られて、飛び降りようとしたけどぐいっと手が前に引かれる。
掴むものなんてない。
あっという間に、ベッドに投げ出されて見下ろされていた。
「っ……ヒソカ、いつの間にガム……」
すぐに凝で長い指から伸びる紫がかったオーラを睨み付ける。
「あんまりに焦らすものだからね♦」
そう笑って、ぎしりと足を掛けた。
すぐ壁際に逃げるも、両腕で行く手を阻まれる。
腰が抜けて、覆い被されてしまう。
「面白い顔してるね♠」
「な……」
頭だけ壁にもたれて、体は動かないし、ヒソカが目の前で四つん這いで見下ろしてくる状況でどんな顔すればいいのかわからない。

