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愛とは違う
第3章 壊させて
ただ瞬きを繰り返してしまう。
他が動かないから。
「前も……言った」
「うん?」
「俺のこと、美味しそうだって……どういう意味? 真剣だったのに。意味わかんなかった。なんか怖くて……あのときと同じ意味?」
声が小さくてもどかしい。
「ああ……よく覚えてないけど♣ 初めて会ったときからゴンのこと食べちゃいたいなあとは思ってたよ♥」
唇を親指で優しくなぞられる。
さっきからお互いの吐息がぶつかる。
近すぎるんだ。
「なに、それ」
「……ねえ、ゴン」
木枠が軋み、腿の間に膝が割り入れられたかと思うと腰までぐっと押し上げられる。
冷たい手が服の裾から腹を撫でる。
びくりと逃げようとしても、壁しかない。
「壊させて」
囁いた言葉を理解する前に、ヒソカの唇が俺の口を塞いだ。
見えるのはオレンジと燃えるような赤の髪と、天井の升目。
視線をずらせば、恐ろしい眼に捕まってしまいそうで。
緩く開かされた隙間から舌が侵入する。
やっと手足が言うことを聞いて、満身の力でヒソカを押し退けようとする。
「はっ……ん、む」
ひたすらに肩を握って押してもびくともしない。
自分の鼻息が目にかかる。
「んんっ!?」
腹筋を撫でて上がってきた指先が、乳首を摘まんだ。
足の先がピンと張る。
怖い。
怖い怖い。
目尻から涙が溢れる。
グリグリと押し付けられる膝が変な感じで、股間がくすぐったい。
なんとかして服を戻そうとした手もまったく役に立たない。
息が出来なくて、必死に口を開けては空気を貪る。
「っは、あんむ……あ」
天井がぼやけてくる。
熱くて、意識が飛びそう。
ヒソカの香りが脳まで痺れさせるみたいで。
キスしてるって事実すら、ふわふわと。
「……ゴンは口が小さいね」
はーはー、と煩い呼吸の間をヒソカの声がゆらめく。
頬を撫でられ、唇を舐められる。
背中がむず痒い。
服は首まで上げられて、抵抗もできないままに腕を通され脱がされる。
窓からの冷気が肌を刺した。
「なんで……」
それしか言葉にできなかった。
なんで、キスしたの。
なんで、脱がすの。
なんで、笑ってるの。
「キミが誘ったんだ。応えないと悪いだろ」
よくわかんないよ。
いつもみたいにふざけてよ。
真面目な声は心臓に悪い。