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愛とは違う
第4章 小休止とイこう

ヒソカと話すのは楽しい。
俺が普段考えてることをひっくり返すような言葉を返してくれるから。
キルアたちから気付くこともあるけど、記憶に残る強烈さがなんだか違う。
だっておかしいよ。
俺との勝負を、何に例えた?
その単語の意味なんてまだまだ全部は知らないけど、本と噂で得た知識ならある。
「ヒソカはその、俺と闘うと子どもを作るみたいに新しいものが得られるってことだよね」
セックスは子作りのことだから。
確信を持って言ったのに、ヒソカの気持ちいいくらいの笑い声に自信がしなしなと萎む。
「くっくっく……やめろよ❤ キミはほんとに思いもよらないことを言うね♣️」
「違うの? 俺はすっごく楽しくて、前に進んでて、こう、たくさん思いが出てくるんだ。こう戦えるんじゃないか、あれも出来るんじゃないかって。ていうかそうしないと負けるって焦りからだけど」
笑いがおさまったヒソカが片眉を上げる。
「防戦一方のキミはつまらないけど、逆転を狙ってくる時はたまらないもんね♦️」
またつまらないって言った。
その言葉ほんとに嫌い。
存在を軽く見られてる気になる。
ぐっと拳を握って文句が出そうな口を我慢する。
「そういうキミがこれからも沢山見られるのは楽しみだよ♠ ただ、本体のキミが深く沈んで無意識で闘うのはどうだろうなあ」
ネフェルピトーとの戦いを言ってる。
あの時は、自分じゃないみたいだったから。
それは、望んでないってこと?
でもきっと大丈夫だよ。
「俺だってヒソカと楽しんで戦いたいし」
記憶に残らないなんて嫌だ。
コン、とこめかみを小突かれる。
「話は終わりにして、食べに行こうか♣️」
揚げたてのチキンを頬張りながら、指についた衣を払う。
ホテルから二ブロックも離れてない酒場のカウンターでヒソカと並んで座っている。
串に刺して揚げた魚を齧りながら、泡の浮かぶお酒を揺らして。
さっきからこっちを見ない。
カウンターだから仕方ないかもだけどさ。
食べ進めるのも、会話がないと物足りない。
喧騒に満ちている中で無言なんて。
「ヒソカは」
「ゴンはまだ誰かを壊したいくらい好きになったことは無いよね♦️」
急に重ねて言うから。
塊が喉に詰まりかけて急いでグラスの水を飲む。
ごっきゅごっきゅと通ってく。
「な、ないよ。なにそれ」
あ、笑顔。

