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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第1章 かくも愛しき田園の一日
オスカーが振り向く。
「なんですか?ドクターアーレンベルグ」
普段の軽薄なリヒャルトとは打って変わっての真顔がそこにある。
リヒャルトは腕組みしたまま、オスカーを見る。
「…で、君は一生、このタウンハウスに大事なアルフレッド坊っちゃまを閉じ込めておくつもり?」
「…は?」
オスカーは整った眉を顰める。
「坊っちゃまが傷つきそうなことや危険なことを全て排除して、綺麗な綺麗な世界に閉じ込めたいのかと聞いているんだ。…それじゃまるで坊っちゃまは君の人形だな」
「ドクターアーレンベルグ…!失礼ではありませんか⁉︎第一、私にそんな気は…」
リヒャルトは不意に立ち上がると、オスカーを壁際に追い詰めるように歩き出す。
「そうかな?私には君がアルフレッド坊っちゃまが独り立ちされるのを怖がっているように見えるよ。
…君はアルフレッド坊っちゃまには、いつまでも自分の手の内に留まっていて欲しいのではないか?」
オスカーの碧の瞳が大きく見開かれる。
隠しきれない動揺をリヒャルトに気取られぬように形の良い唇を引き結び、顔を背ける。
「…馬鹿馬鹿しい…」
その顎をすかさず捕らえ、リヒャルトはオスカーにくちづけするような距離まで迫る。
「…君は自分だけの坊っちゃまでいて欲しいのだ」
「…!離して下さい、ドクターアーレンベルグ!」
もがくオスカーの両手をリヒャルトは壁に貼り付ける。
「…それでいいのか?アルフレッド坊っちゃまをずっとこのタウンハウスだけの狭い世界に閉じ込めて、未来を奪い…」
「違う!私はアルフレッド様を心配して…!」
リヒャルトの目がふっと優しくなる。
「…アルフレッド坊っちゃまはもっと広い世界を見るべきだ。…世界は広い。そして輝きに満ちている。坊っちゃまの目の前には無限の可能性が広がっているんだ。…危険を回避して優しく守るのだけが愛情ではない…」
…瞬きもせず自分を凝視する碧の瞳…
リヒャルトは睫毛が触れ合う距離まで近づき、唇を重ねようとする。
…麗しのエメラルドの瞳…。
…が、その瞬間…
「…痛〜〜ッ‼︎」
リヒャルトがしゃがみこむ。
オスカーが鳩尾を容赦なく蹴り上げたのだ。
「…全く!油断も隙もない。その手に乗るものですか!」
「ちょっ…!オスカー!」
「失礼いたします」
ドアが無情に閉じられる。
リヒャルトは腹をさすりながら苦笑する。
「…乱暴な薔薇の精だ…」
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