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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第1章 かくも愛しき田園の一日

アルフレッドに就寝前のミルクとビスケットを届けるのもオスカーの日課だ。
白いコットンの寝間着を着たアルフレッドは広い寝台の中で、ミルクとビスケットが載った銀の盆を受け取りながら、不満そうな顔をする。
「…僕はいくつまでミルクを飲まなきゃならないんだよ」
「…ミルクは身体に良いのですよ。カルシウムたっぷり、しかもぐっすりとお寝みになれますよ」
オスカーは宥めるように笑う。
アルフレッドはぶつぶつ言いながらも素直にミルクを飲み、ビスケットを食べる。
その様子は本当に愛らしくて、オスカーは思わず見惚れてしまうのだ。
…アルフレッド様はいつまでも可愛らしい…。
お小さい頃のままだ…。
ふと、昼間のリヒャルトの言葉が胸をよぎる。
「君はアルフレッド坊っちゃまを独り立ちさせたくないのだ」
…そんなことはない!
だが、なぜか不安になる。
「…アルフレッド坊っちゃま…」
オスカーはぽつりと尋ねる。
「なあに?オスカー」
「坊っちゃまは、学校に行かれてみたいですか?」
意外な言葉を聞き、アルフレッドは不思議そうな顔をする。
「学校?…でもお祖母様が学校に行ってはいけないと仰っているんでしょ?」
「…ええ。坊っちゃまが6歳の時に心臓の手術を受けられて、それ以来レディギネヴィアは大変心配性になられましたから…」
空になったミルクのグラスをオスカーに返しながら、アルフレッドはあっさり返事をする。
「じゃあ無理だね。お祖母様が仰ることは絶対だもの」
「…けれど、最近は心臓の発作も、喘息を拗らすこともありません。大分ご丈夫になられました。…坊っちゃまたってのご希望でしたら、もしかしたらレディギネヴィアも認めて下さるかも知れません…」
オスカーの声のトーンの低さに、アルフレッドは首をかしげる。
「…オスカーは僕に学校に行って欲しいの?欲しくないの?」
オスカーは慌てて首を振る。
「わ、私は…!…本当は坊っちゃまを学校…特にパブリックスクールのように虐めと横暴が渦巻く所には行かせたくはありません!
…あんな悪の温床、坊っちゃまみたいな愛らしく美しい生徒は一発でヤラれ…い、いや!…攻撃されてしまうには決まってますから!」
「…怖…」
「…けれど…」
オスカーは弱々しい声で呟く。
「…坊っちゃまには坊っちゃまの人生があります。…坊っちゃまの前途洋々の未来を潰したくはありません…」
白いコットンの寝間着を着たアルフレッドは広い寝台の中で、ミルクとビスケットが載った銀の盆を受け取りながら、不満そうな顔をする。
「…僕はいくつまでミルクを飲まなきゃならないんだよ」
「…ミルクは身体に良いのですよ。カルシウムたっぷり、しかもぐっすりとお寝みになれますよ」
オスカーは宥めるように笑う。
アルフレッドはぶつぶつ言いながらも素直にミルクを飲み、ビスケットを食べる。
その様子は本当に愛らしくて、オスカーは思わず見惚れてしまうのだ。
…アルフレッド様はいつまでも可愛らしい…。
お小さい頃のままだ…。
ふと、昼間のリヒャルトの言葉が胸をよぎる。
「君はアルフレッド坊っちゃまを独り立ちさせたくないのだ」
…そんなことはない!
だが、なぜか不安になる。
「…アルフレッド坊っちゃま…」
オスカーはぽつりと尋ねる。
「なあに?オスカー」
「坊っちゃまは、学校に行かれてみたいですか?」
意外な言葉を聞き、アルフレッドは不思議そうな顔をする。
「学校?…でもお祖母様が学校に行ってはいけないと仰っているんでしょ?」
「…ええ。坊っちゃまが6歳の時に心臓の手術を受けられて、それ以来レディギネヴィアは大変心配性になられましたから…」
空になったミルクのグラスをオスカーに返しながら、アルフレッドはあっさり返事をする。
「じゃあ無理だね。お祖母様が仰ることは絶対だもの」
「…けれど、最近は心臓の発作も、喘息を拗らすこともありません。大分ご丈夫になられました。…坊っちゃまたってのご希望でしたら、もしかしたらレディギネヴィアも認めて下さるかも知れません…」
オスカーの声のトーンの低さに、アルフレッドは首をかしげる。
「…オスカーは僕に学校に行って欲しいの?欲しくないの?」
オスカーは慌てて首を振る。
「わ、私は…!…本当は坊っちゃまを学校…特にパブリックスクールのように虐めと横暴が渦巻く所には行かせたくはありません!
…あんな悪の温床、坊っちゃまみたいな愛らしく美しい生徒は一発でヤラれ…い、いや!…攻撃されてしまうには決まってますから!」
「…怖…」
「…けれど…」
オスカーは弱々しい声で呟く。
「…坊っちゃまには坊っちゃまの人生があります。…坊っちゃまの前途洋々の未来を潰したくはありません…」

