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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
フレデリックは暫くオスカーを穴が開くほどに見つめていたが、はっと我に帰り、咳払いをしながらつっけんどんな口調で尋ねた。
「…君はここの執事か?」
オスカーは穏やかに微笑みながら、恭しく頭を下げる。
「はい。オスカー・スペンサーと申します。ご滞在中はなんなりと御用をお言いつけくださいませ」
「…ではオスカー、僕を浴室に案内してくれ。…全身汽車の煤だらけだ。…これだから田舎への旅行は嫌いだよ。折角新調したジャケットが台無しだ」
美しく整った顔から繰り出される辛辣な言葉にアルフレッドは眉を上げて、むっとする。
そして
「オスカーは執事だ。そういう仕事は第1下僕がする」
と言い放つ。
「いいじゃないか、アルフレッド。…君は彼が少しでも離れると寂しいのかい?」
ふっと鼻先で笑われ、アルフレッドは怒りから白い頬を真っ赤に染める。
「…そんな訳ないだろ!僕はもう子供じゃない!」
「どうだかね。この間、ロンドンに滞在していた時も、長いこと電話で話し込んでいたのは、このオスカーじゃないのか?」
「…‼︎…」
険悪な雰囲気を収めるように、オスカーはフレデリックの前に進み出ると優雅に手を差し伸べる。
「フレデリック様、浴室にご案内いたします。…どうぞこちらへ…」
「オスカー!」
オスカーはアルフレッドに端正な表情のまま告げる。
「アルフレッド様はお先にレディギネヴィアと客間へ行かれてください。…お茶のご用意が整ってございます。…トーマス、ご案内を頼む」
「はい、スペンサーさん」
下僕のトーマスがにこにこと現れる。

アルフレッドは、フレデリックと共に屋敷の中に入るオスカーを物言いたげに見送る。
レディギネヴィアはアルフレッドの腕を取ると、澄ました顔で囁く。
「フレデリックとは口喧嘩出来るくらいに仲良しになったのね、何よりだわ」
「まさか!お祖母様…」
「そういうことにしておきましょう。貴方は良い子ね。…さあ、アルフレッド、客間にまいりましょう。お茶を頂きながらわたくしにたくさん貴方のお話を聞かせて。
…その前に…笑って、アルフレッド。可愛い貴方に膨れっ面は似合わないわ」
アルフレッドは大好きな祖母の気分を害したくなかったので不承不承笑顏を作ると、祖母の手を握りしめゆっくりと歩き出した。
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