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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
入浴のため、小一時間ほど遅れてお茶に参加したフレデリックは空色のシャツに臙脂色のリボンタイ、チャコールグレーのパンツに同色のジャケットという洒落た格好で現れた。
オスカーがフレデリックのティーカップに薫り豊かなアッサムティーを注ぎながら尋ねる。
「…お疲れは取れましたか?」
フレデリックはやや恥ずかしそうに
「…まあまあだな」
と無愛想に答える。
「それは宜しゅうございました」
オスカーがにっこりと笑いかける。
フレデリックは息を呑み、白い頬をうっすら赤く染めた。
普段は決して見せないフレデリックの表情にアルフレッドは目を丸くする。
アルフレッドと目が合ったフレデリックはバツが悪そうに椅子に肘をつき、そっぽを向いた。

レディギネヴィアが、にこやかにフレデリックに話しかける。
「ねえ、フレデリック。折角、こちらに来たのだから観光でもしてみないかと今、アルフレッドと話をしていたのよ」
フレデリックは冷めたアイスブルーの瞳をレディギネヴィアに向けた。
「観光?」
「…ええ、まずは街のシンボルのソールズベリー大聖堂…。我が伯爵家由来の聖堂よ」
フレデリックは肩をすくめる。
「大聖堂なんてロンドンで飽きるほど見ていますよ」
アルフレッドは大好物のベリーのプチケーキをパクつく手を止め、むっとする。
「あらまあ、そう?…では、ストーンヘンジは?古代のロマンに触れられるわよ」
「石の大群を見て何が面白いんだか…。僕は歴史に興味がないんです。あんな前時代の遺物」
歴史好きのアルフレッドは食ってかかる。
「ちょっと…!さっきから聞いていれば文句ばっかり…!何なんだよ!」
澄ました顔で薄い胡瓜のサンドイッチをつまみながらフレデリックはにやりと笑う。
「…気に障ったなら失礼。田舎はのんびりしていて平和だけれど、都会育ちの僕には興味をそそるものが少ないと言いたかっただけさ」
アルフレッドは口を尖らす。
「田舎田舎って言うけれど、君の父上はスコットランドの侯爵だろう?カントリータウンは田舎じゃないのか?」
フレデリックはアイスブルーの瞳で冷ややかにアルフレッドを見遣る。
「僕は父の城に行ったことはない。僕が小さい時から城は既に他人のものだったからね。父が株に大損したお陰で。それが尾を引いて両親は離婚協議中さ」
…これにはレディギネヴィアは軽く咳払いをし、アルフレッドは口をつぐむしかなかった。
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