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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
「ええ〜ッ⁉︎み、み、湖へ行きたいだって⁈」
アルフレッドはまるで往来でゴーストに遭遇したような恐怖に引きつった顔をした。
「ああ、そうさ」
対するフレデリックはこれからライン川の川下りでもしようかというような涼しい顔だ。
「…レディギネヴィアが仰っていた。君んとこの領地には、素晴らしく美しい湖があるそうじゃないか」
「…ひ、翡翠湖のことか?」
「ああ、それさ。…なんでも陽の光を受けて翡翠のように輝く湖だとか…。それほど美しい湖ならぜひ、行ってみたいと思ってね」
フレデリックは端正な唇を歪めてにやりと笑った。
「いいだろう?アルフレッド。一緒に翡翠湖に連れて行ってくれ。…湖畔でピクニック、これぞ田園の楽しみ方じゃないか!湖畔でお茶会も悪くはない。…英国貴族らしい愉しみだな」
さっきから湖湖と単語が連呼されるたびに、アルフレッドの顔色は紙より白くなり、思わず後ずさりしてよろめいた。
「アルフレッド様、大丈夫ですか?」
後ろからさりげなく、しかししっかりとオスカーが抱き留めてくれた。
アルフレッドはオスカーにしがみつく。
「オ、オ、オ、オスカー〜‼︎み、み、み、湖だって‼︎湖‼︎」
「…はい。伺っておりました。アルフレッド様」
アルフレッドはオスカーを部屋の隅に連れて行き、小声で訴える。
「無理だよ、無理無理!ぼ、僕は水と名のつく所は大嫌いなんだ!バスタブのお湯ですら怖いのに!翡翠湖でお茶なんか飲めるもんか!絶対に!無理‼︎」
「…アルフレッド様、落ち着いてください」

すると、二人の背後から面白がるようなフレデリックの声が聞こえた。
「何をごちゃごちゃ言っているんだよ。…ねえ、アルフレッド。…君…もしかして…湖が怖いの?」
途端にアルフレッドがキッ!と鬼のような形相で振り向く。
「まさか!何をバカなことを!…み、湖ごとき…こ、怖いわけがないじゃないか!」
するとフレデリックがにっこりと笑い、アルフレッドと握手した。
「良かった!ありがとう、アルフレッド。君はやはり良い人だ。じゃあ決まりだね!善は急げだ。…ピクニックは明後日にしよう。僕は今から服と靴を選んで来るよ。あ、魚釣りもしたいから、オスカー、準備をよろしく」
そう陽気に捲くしたてると、上機嫌で部屋を出て行った。
…後に残されたのは、茫然自失で声も出ないアルフレッドと彼を痛ましげに見守るオスカーであった…。
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