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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
「…良かろう。引き受けるよ」
リヒャルトは二つ返事で承諾した。
「本当ですか?」
オスカーはリヒャルトを振り返る。
リヒャルトは満面の笑みをたたえ、両手を大きく広げ唄うように言った。
「君からのデートの誘いを私が断る訳がないじゃないか。…美しき湖、湖畔での優雅なるお茶会、そこには麗しき薔薇の精…田園の春はやはり最高だ!」
「デートじゃありません!主治医としての同行をお願いしたまでです!」
「まあまあ、照れなくても良いのだ…君は素直じゃないのが玉に瑕だな」
にやけながら馴れ馴れしくオスカーの肩を抱こうとするリヒャルトを冷たく振り払い、キッ!とその怜悧な碧の瞳で忌々しそうに睨みつけ、一気に捲し立てる。
「照れていません!…全く!貴方ときたらどうしてそこまでご都合主義でいられるんだか…!
…兎に角!ご同行の件はよろしくお願いいたします。
それでは、失礼いたします」

そう言い残し、あっと言う間に部屋を後にしたオスカーをリヒャルトは可笑しそうに声を立てて笑い、見送った。
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