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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
「素晴らしくピクニック日和だな!…どうした?アルフレッド。気分でも悪いのかい?」
ぴかぴかに磨き上げられたメルセデスにご機嫌で乗り込んだフレデリックはアルフレッドを振り返る。

…これから幽霊屋敷の探検にでも出かけるかのような陰鬱な眼差しをしたアルフレッドは、弱々しく呟く。
「…別に…」
「どうしたんだ。英国にしては珍しいくらいにお天気なのに。随分暗い顔だな。…もしかして、君…みず…」
フレデリックが言いかけたのを無理やり語尾を引き取り
「何を馬鹿なことを!み、水が怖いなんて、そんなことある訳ないだろ!」
と、フレデリックの胸に人差し指を突き立てる。
にやにやしながらフレデリックは腕を組む。
「…僕は、湖は気が乗らないの?…と聞こうとしただけなのにさ…」
アルフレッドはカッとなるのを必死で堪えた。
…今、フレデリックに食ってかかることは得策じゃない。
兎に角、今日の目的はできる限り翡翠湖に近寄らず、さりとて不自然ではなく無事にこと無きを得ることなのだから…。

背後からオスカーがさりげなく助け船を出す。
「さあ、アルフレッド坊っちゃま。どうぞお乗りください」
…そして
「…大丈夫です。アルフレッド様のことは私が必ずお護りいたしますから…」
と、耳元で囁いた。
「…オスカー!」
アルフレッドの頬に初めて血の気が差してきた。
そんな二人をさも面白くなさげに見遣りながら、フレデリックは
「早く乗り給えよ。日が暮れる」
と釘を刺した。

もう一台の車には湖畔でのアフタヌーンティーに備えた様々な雑貨、リネン類、カトラリー…そして勿論お茶の道具やサンドイッチ、スコーン、プチケーキなどが下僕のトーマスにより運びこまれていた。

…そこに軽快なクラクションと陽気な声が聞こえた。
「ご機嫌よう、皆様」
幌なしのフォードから身を乗り出すようにして手を振るのは、アルフレッドの主治医のドクターアーレンベルグだ。

「オスカー!ここ!乗って!」
リヒャルトは自分の助手席をぽんぽん叩く。
オスカーはその冷めた眼差しで一瞥だけくれると、
「…では出発いたしましょう」
と、メルセデスの助手席に乗り込んだ。
間も無くメルセデスは滑らかに走り出した。
「あ!ちょっと!オスカー!」
追い縋るリヒャルトにトーマスがにこにこと話しかけた。
「ドクター、迷子にならないで付いてきてくださいね」
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