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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
メルセデスが屋敷の青銅の高い門扉をくぐり抜け、滑らかに走り出してからもフレデリックはご機嫌なままだった。
「そういえば、レディギネヴィアはご一緒されないのか?」

これから目の前に広がるであろう恐怖の風景を予想してすっかり意気消沈しているアルフレッドは、車酔いでも起こしそうに弱々しく革張りの座席深く腰掛け、瞼を閉じていた。
返事をする余裕もないアルフレッドに代わり、オスカーが恭しく答えた。
「レディギネヴィアは、昔からのご親友をお屋敷にご招待されてランチをお楽しみになるそうです。…なんでもレディギネヴィアの寄宿舎時代からのご親友だそうで…」
「ウィンダミア卿夫人だ。…夫人は近くのカントリーハウスに住んでおられるからね。僕にもいつも良くしてくださるお優しい方だ…」
弱々しいながらも、敬愛する祖母に関する説明を補足することを忘れないアルフレッドだった。

「ふうん…。レディギネヴィアの寄宿舎時代か…。
さぞ綺麗な女の子だったんだろうな…」
開け放たれた窓から吹く爽やかな風にプラチナブロンドの髪を靡かせながら、フレデリックは少し夢見るような眼差しをした。

アルフレッドとオスカーは意外なものを見たように、お互いそっと目を合わせた。
レディギネヴィアは60代半ばの今も大変に美しく気高く威厳に満ちた貴婦人だが、孫のアルフレッドですら、なかなか少女時代を想像することは容易ではなかったからだ。

だがフレデリックは頬づえをつきながら、楽しげに遠い眼差しをして何かを思い浮かべていた。
…フレデリックは、本当にお祖母様を好きなんだな…。
アルフレッドには揶揄ったり、生意気な態度しか取らないフレデリックだが、祖母に対しては常に敬意を表している場面も同時に思い出したのだ。
アルフレッドはフレデリックを少し見直し、そしてやや気分が良くなったのを感じた。

ゆっくりと大きく伸びをして、漸く窓の外の景色を眺めだした。
そんなアルフレッドをオスカーは優しく見つめ、前を向こうとした時…けたたましいクラクションと共に後方車のリヒャルトが手を振りながら叫んでいた。
「オスカー!僕がいるの、忘れないでよね!オスカー!」
オスカーは眉を顰めながら一瞬だけ振り返り、そして何事もなかったかのように澄ました顔で、再び前を向いたのだった。
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