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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
湖が見渡せ、木陰でなだらかな場所にお茶会の天蓋は設営された。
防水の敷物を敷き、リネンで日除けの天幕を広く作り、長椅子やソファ、クッションを配置する。
まるで屋敷の庭園でお茶を飲むのと変わらない快適な空間が出来た。
ミントンの茶器を始め、ティーポットやシュガーポットも運ばれ、テーブルは華やかな英国式ティーパーティーの様相を呈している。
3段の銀器のケーキスタンドには胡瓜のサンドイッチ、クリームチーズとスモークサーモンのサンドイッチ、プチケーキ、そしてスコーンにはクロテッドクリームと木苺のジャムがたっぷり添えられている。
クリームティーが好きなフレデリックの為にはアッサムティーと温めた牛乳をたっぷりと同時に注ぐ。
オスカーの鮮やかな手際のよさを見て、フレデリックは眼を輝かせる。
「君が淹れるクリームティーは絶品だな、オスカー」
カップを受け取りながら、フレデリックは褒めちぎった。
「恐れ入ります」
柔かにオスカーは答える。
「…アルフレッドはいいな。君みたいな執事がいて。…アルフレッドには勿体無いような完璧な執事だ」
湖に背を向けたソファに座り、ようやく一息吐いたアルフレッドは早速のフレデリックのジャブに応酬する。
「…君は片方を貶さないと、もう片方を褒められないのか?」
むっとするアルフレッドを宥めるように、リヒャルトが無邪気に尋ねる。
「君は16歳だよね?学校はどうしてるの?今、休学中?」
フレデリックは澄ました顔で答える。
「…イートン校に通っていたんですけれど、放校になりました」
「放校?穏やかじゃないね。何で?」
「ドクター…!」
オスカーは慌てて目配せをする。
フレデリックがイートン校を退学していたのは何となく聞いてはいたのだが、誰も理由を聞いたものはいなかったからだ。
「…僕のことを勝手に好きになった上級生が心中騒ぎを起こしたからさ」
アルフレッドは紅茶を吹き出した。
オスカーは唖然とする余り、手にしていた銀の盆を取り落とした。
「…君、無事だったの?」
フレデリックは肩をすくめる。
「ナイフを突きつけられただけ。…でもその後、その生徒の親が、僕が彼を誘惑したと騒ぎ出してさ。…で、何故か僕まで放校処分。…とんだとばっちりさ」
リヒャルトが感心したように首を振る。
「君、若いのにスリリングな人生を歩んでいるねえ…」
防水の敷物を敷き、リネンで日除けの天幕を広く作り、長椅子やソファ、クッションを配置する。
まるで屋敷の庭園でお茶を飲むのと変わらない快適な空間が出来た。
ミントンの茶器を始め、ティーポットやシュガーポットも運ばれ、テーブルは華やかな英国式ティーパーティーの様相を呈している。
3段の銀器のケーキスタンドには胡瓜のサンドイッチ、クリームチーズとスモークサーモンのサンドイッチ、プチケーキ、そしてスコーンにはクロテッドクリームと木苺のジャムがたっぷり添えられている。
クリームティーが好きなフレデリックの為にはアッサムティーと温めた牛乳をたっぷりと同時に注ぐ。
オスカーの鮮やかな手際のよさを見て、フレデリックは眼を輝かせる。
「君が淹れるクリームティーは絶品だな、オスカー」
カップを受け取りながら、フレデリックは褒めちぎった。
「恐れ入ります」
柔かにオスカーは答える。
「…アルフレッドはいいな。君みたいな執事がいて。…アルフレッドには勿体無いような完璧な執事だ」
湖に背を向けたソファに座り、ようやく一息吐いたアルフレッドは早速のフレデリックのジャブに応酬する。
「…君は片方を貶さないと、もう片方を褒められないのか?」
むっとするアルフレッドを宥めるように、リヒャルトが無邪気に尋ねる。
「君は16歳だよね?学校はどうしてるの?今、休学中?」
フレデリックは澄ました顔で答える。
「…イートン校に通っていたんですけれど、放校になりました」
「放校?穏やかじゃないね。何で?」
「ドクター…!」
オスカーは慌てて目配せをする。
フレデリックがイートン校を退学していたのは何となく聞いてはいたのだが、誰も理由を聞いたものはいなかったからだ。
「…僕のことを勝手に好きになった上級生が心中騒ぎを起こしたからさ」
アルフレッドは紅茶を吹き出した。
オスカーは唖然とする余り、手にしていた銀の盆を取り落とした。
「…君、無事だったの?」
フレデリックは肩をすくめる。
「ナイフを突きつけられただけ。…でもその後、その生徒の親が、僕が彼を誘惑したと騒ぎ出してさ。…で、何故か僕まで放校処分。…とんだとばっちりさ」
リヒャルトが感心したように首を振る。
「君、若いのにスリリングな人生を歩んでいるねえ…」