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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第1章 かくも愛しき田園の一日
「おはようございます。アルフレッド坊っちゃま、ご起床のお時間でございます。…と申しましてももう既に一時間以上遅れておりますが、毎朝のことながら」
端正な顔で、表情も変えずに機械的に捲くし立てる美貌の執事をアルフレッドは恨めしそうに見上げる。
「なんだよ、オスカー。相変わらず乱暴だなあ」
「アルフレッド坊っちゃまはお声かけのような生易しい方法ではお目覚めになりませんので…。
さあ、お起き下さい。本日はアーレンベルグ先生の定期健診がございます。ご朝食前に、ご入浴を」
アルフレッドは薔薇の蕾のような唇を尖がらせる。
「やだ!お風呂は嫌いだ!また溺れたらどうするんだよ!」
オスカーは眼鏡の奥の碧の瞳を眇める。
「…坊っちゃまはおいくつですか?」
「14歳だ!」
「…14歳でご入浴を怖がられる方がどこの世界にいるのですか?」
「ここにいるよ!14歳だからなんだっていうんだ!怖いものは怖いんだ!」
オスカーはきちんと撫で付けられた黒髪をさらりとかきあげ、ため息を吐く。
「…時間の無駄ですね。…失礼します」
と言うが早いかオスカーは、アルフレッドの身体をいとも簡単に横抱きにし、寝台から連れ出した。
アルフレッドは碧の瞳を丸くして、次に火山の如く怒り出した。
「な、何するんだ!オスカー!降ろせ!降ろせってば!」
手足をバタバタさせて猛烈に抵抗する。
オスカーは涼しい顔で部屋を横切る。
「おとなしくなさいませ。落ちてしまわれますよ」
「降ろせってば!ばかばか!オスカーのばか!氷眼鏡!冷血漢!人でなし!誰か〜!誰か来て〜ッ!オスカーに殺されるよ〜ッ!」
声を限りに叫ぶアルフレッドにさすがのオスカーも眉を顰める。
「…人聞きの悪い…。本当に貴方様は人の悪口だけは豊富にお持ちだ。ラテン語の詩の暗唱はからっきしなのに」
アルフレッドは白い頬を林檎のように染める。
「…なっ…!…よ、余計なことを言うなッ!」
つんと澄まし顔でオスカーは次の間を通り抜け、浴室に入った。
「…叫んでも誰も来ませんよ。…坊っちゃまの狼が来た!はメイドや下僕の間でも有名ですからね」
アルフレッドは尚も足をバタバタさせて抵抗する。
「離せ!離せってば!」
清潔で広く明るい浴室には、白い猫脚の大きなバスタブが用意され、暖かい湯気を立てていた。
入浴専門の年若の従者トーマスが、エプロン姿でにこにこしながら待ち受けていた。
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