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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第1章 かくも愛しき田園の一日
「アルフレッド様、さあどうぞ。今日は暖かなのでご入浴も気持ちが良いですよ」
トーマスが人の良い笑顔で声をかける。
アルフレッドは今度はオスカーにしがみつき、絶対に浴室のタイルの床に足をつけようとしない。
「やだ!やだ!絶対にやだ!」
…アルフレッド様は本当に14歳なのだろうか…。
まるで駄々を捏ねる幼児だ…。
オスカーはアルフレッドに噛んで含めるように言い聞かせる。
「アルフレッド様、この間溺れそうになったのは坊っちゃまがバスタブの中に石鹸をお入れになって、それに滑ってお転びになったからです。今朝はトーマスが付いておりますから大丈夫です」
「やだやだ!絶対に入らない!」
アルフレッドはオスカーの首根っこに齧り付く。
オスカーは辛抱強く続ける。
「アルフレッド様、ついでに申し上げますと、バスタブの中で人は溺れたりしません。
…さあ、寝間着を脱がれてご入浴なさいませ。…トーマス、アルフレッド様の着替えを手伝ってくれ…」
少し強引に入浴を強行しようとしたその刹那…
アルフレッドの必死な悲鳴にも似た声がオスカーの耳に飛び込んで来た。
「嫌だ!人間は死ぬときはあっけなく死ぬんだ!
…お、お父様や…!お、お母様みたいに…!いきなり亡くなってしまうんだ!」
オスカーははっと目を見開き、アルフレッドを見る。
アルフレッドの碧の瞳に涙が一杯溢れていた。

…この瞳を見たことがある…。
アルフレッド様と初めてお会いした時だ。
10年前…初めてこのカントリーハウスでアルフレッド様とお会いした。
アルフレッド様は、豪華客船での海難事故で亡くなられた伯爵ご夫妻のご葬儀の後で、ナニーに抱かれて泣きじゃくられていた…。

先代の執事にオスカーを紹介され、アルフレッドは一度泣くのを止めた。
オスカーが跪き、アルフレッドと目を見合わせ
「…アルフレッド様。今日から私が貴方様の執事です。私が片時も離れずにアルフレッド様のお側におります。ご安心くださいませ」
と静かに語りかけると…再び堰を切ったように泣き出し、オスカーの胸に飛び込んだのだ。
…今のように…。
オスカーの胸の内はぎゅっと鷲掴みにされる。
「…わかりました。もうお泣きにならないでください。アルフレッド様」
オスカーはアルフレッドを優しく強く抱きしめた。
…するとアルフレッドは、あの時のようにオスカーにしがみつき、大声で泣き出したのだった。
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